夏端整理室を初公開〜須坂市埋蔵文化財

2016-06-11 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 市は5日、発掘調査で出土した遺物を整理する埋蔵文化財夏端整理室(旧夏端保育園)を初公開した。接合後、形がまとまった土器などを時代別に展示し、学芸員らが説明。来場者は展示遺物を手に取って間近に観察した。粘土で模様をつけたり、土のついた土器片をブラシを使って水洗いしたり、土器の文様を紙に写し取る体験(拓本)をした。
 縄文時代の小河原遺跡群から2〜3年前に出土した「凹(くぼ)み石」は、栗やドングリを砕いたり、つぶすための道具。「松川扇状地上に縄文時代の何らかの活動の痕跡を残している。石器や磨製石斧(ませいせきふ)、石鏃(せきぞく、石矢尻)などは出ているが、集落跡や土器が出てくると、さらに研究が進む」(田中一穂学芸員)。
 弥生時代の塩川・須坂・小山遺跡群(須坂園芸高校食品加工実習棟の下)から平成2年ごろに出土した「赤彩高杯(せきさいたかつき)」は、「赤い土器のクニ」と呼ばれた長野県北半(千曲川・犀川流域など)の弥生時代後期と共通する。赤色はベンガラ(酸化第二鉄)。使用は神に供える際の祭祀(さいし)用などとみられるが、詳細は不明という。
 古墳時代の赤畑古墳(坂田町)から出土したとされる鉄刀は長さ約50cm。「3mほどの横穴式石室を有する身分の高い人がいた。出土物が他にないため古墳時代後期の正確な年代は不明。鉄刀が中央政権から下賜されたものかどうか、今後の研究課題」(村木真由文化財係主任主事)。
 来場は約100人。アンケートでは「土器洗い・拓本・粘土体験が楽しかった」(6歳女子)「手に取り触れられてよかった」(60代女性)「市内に多く土器が出ていることが分かった」(30代の母親)との声があった。
 運営した市の高橋千穂学芸員は取材に「子供たちにも興味を持ってもらえた。人々の生きた道が歴史。郷土の歴史は身近なので土器を作った人は地域の先人。手に取り、見る・触る経験を通じて学びが深まることを期待している」と答えた。

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