2016-07-16 07:00 am by 須坂新聞
ここ数年、ブドウ栽培が活気づいている。主役は「シャインマスカット」だ。味に加えて、種なしで、皮ごと食べられる点などが消費者ニーズをつかみ、人気を集めている。須高地区でも生産量が大幅に増加し、県内有数の産地となっている。価格も高値で取り引きされて、農家の所得増につながっているという。それに伴い、ブドウ全体が押し上げられ、規模拡大や新規就農者も増えているようだ。
ブドウは長年にわたって「巨峰」が主力品種で、2008年ごろまでJA須高管内のブドウ全生産量の9割以上を占めていた。しかし消費が頭打ちで、生産量、価格が低下傾向にあったことから、JA須高ぶどう部会などでは、消費者ニーズへの対応や品種の多様化による販売向上を目指して、種なしや皮ごと食べられる品種への切り替えを進めてきた。
シャインマスカットは、従来のブドウに比べて栽培に手間がかかるものの、日持ちすることなどもあり、全国的に栽培面積が拡大している。
JA須高によると、管内では2012年ごろから出荷量が増加。2011年の14,580ケース(1ケース5kg)から、昨年は180,873ケース(同)に。単価も露地物は4kgで5,000円を上回り、種あり巨峰の2倍以上、種なし巨峰の1.5倍以上で取り引きされた。
ことしは約24万ケースを見込み、県全体の出荷量の3分の1を占めると予想している。
2011年に25億1,500万円余りにまで落ち込んだJA須高管内のブドウ全体の販売額が、昨年は34億4,100万円余りにまで増加した。
品種構成も変化し、ことしのブドウ全出荷量に占める割合の見込みは、種なし巨峰、シャインマスカットが各約30%、種あり巨峰約20%、ナガノパープル約10%となっている。
シャインマスカットは栽培希望者が増加しているため、苗木が足りないほどだという。以前は放置されたブドウ畑も見られたが、今では借りられるブドウ畑を見つけるのが難しいという。
また、長期間出荷できるようにするため、保存用冷蔵庫を設ける農家も増えている。JA須高管内ではことし、国の補助金を受けて42台が導入される。
JA須高によると、正確な数字は把握していないが新規就農者も増えているという。市農林課によると、現在、県の里親制度を利用して市内で農業研修している人が8人おり、ほとんどがブドウ栽培を希望しているという。昨年から増えたとし、「ブドウが好調で、収入が見込めるからではないか」とみている。
ことし5月にはJA須高管内で、ハウス栽培の輸出用シャインマスカットが1ケース約10万円で取り引きされた。こうした状況に農家からは「久しぶりに景気が良くて、作りがいがある」との声が聞かれる。一方で「『シャイン(マスカット)バブル』。いつまでも高値で売れるわけがない」との声も。
JA須高ぶどう部会長の上野好章さん(須坂市小島町)は「約30年栽培しているが、初めて追い風が吹いている。若者も増えて、新しい栽培技術に取り組むなど、いい流れになっている。さらなる品質向上を図り、ブランド化させていきたい」と話している。
2016-07-16 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント
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