2015-12-12 07:00 am by 須坂新聞
JA須高はこのほど、TPP(環太平洋連携協定)が管内の農業に与える影響の試算を公表した。農産物全体の生産減少額は14.37%、25億3,572億円。基幹品目の果樹への影響が特に大きく、リンゴは42.5%、11億4,878万円、ブドウは32.4%、10億6,304万円の減少になるという。対応策として、JA須高は「行政と連携を深めて、地産地消運動を展開すると共に食の安心・安全を訴えて地域農業を守っていきたい」と話している。
管内はブドウのシャインマスカットが12月中に出荷が終わる。JA須高組織整備課の月岡勝則課長は「ブドウのない1月〜4月に、海外がブドウの大量出荷を狙っている。安くて皮ごと食べられ、そこそこおいしいと消費者に受ける。5月に須高産のブドウを出荷しても、外国産に慣れた消費者が高品質だが値段の高い品を食べるか心配」と話す。
また「リンゴも同じで須高産が切れる2月〜7月に安いリンゴが輸入されると厳しい。ブドウ同様、値が外国産に引きずられて下がる可能性が大きい」と分析する。
対抗策として「行政と連携したトップセールスなど積極的に海外に売り込むなど、農家の販売支援をする。国や県など行政の支援も必要」とする。
TPPは全9,018品のうち95%、農林水産物2,328品のうち81%の1,885品、重要5品目586品のうち30%の174品が即時・期限付きを含めて撤廃されるという。
現在の関税はリンゴが17%、ブドウは季節変動で13〜20%だが、リンゴは段階的に、ブドウは即時撤廃。
長野県への影響は全産業で717億円、農林水産物で392億円に及ぶ。試算は経済産業省産業構造審議会委員を歴任するなど農政に詳しい東京大学の鈴木宣弘教授が行った。
牧良一組合長は「JAグループはTPP大筋合意を受け、農産物の重要品目の聖域確保を求めた国会決議が守られるであろうと思っていた。それが守られないばかりか、いきなり果実の関税撤廃が出てきて驚いており、将来不安を感じている。行政と連携して地域農業を守りたい」と話している。
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須高3市町村議会の12月定例会一般質問では、各首長らがJA須高の試算を示しながらTPPの影響や対応策などを述べた。
須坂市の生産減少額は約14億円で、取り扱い産出額の14%に当たる。減少額のほぼ全額が果樹。ブドウが約7億2,000万円、リンゴが約5億8,000万円減少となる。三木正夫市長は「TPPが発効するにしてもまだ数年あり、関係機関と連携して振興策を進めていきたい」と話した。
小布施町の生産減少額は約6億5,000万円。取り扱い産出額の14%に当たる。内訳はリンゴ3億5,000万円、ブドウ2億1,000万円。産業振興課長の竹内節夫さんは「果樹産地のブランド強化による販路確保などが求められている。ブドウやモモの台湾輸出をJAの協力で推進したい」と答えた。
高山村の生産減少額は約5億円で、取り扱い産出額の14%に当たる。主力のリンゴは2億1,000万円、ブドウが1億2,000万円となっており、久保田勝士村長は「大きなダメージ。販売価格の下落により農家の栽培意欲が失われることを危惧する。政府は国民の不安を払拭(ふっしょく)し、理解が得られるよう具体的に説明して、大きな影響がないよう万全な対策を講ずるべき」と話した。
2015-12-12 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント
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