長野県のりんごといえば「ふじ」や「つがる」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし近年、長野県果樹試験場を中心に開発された新品種が続々と登場し、りんごの世界に新しい風を吹き込んでいます。「シナノスイート」「秋映」「シナノゴールド」といった”シナノ三兄弟”に続き、シナノリップやシナノホッペなど、食味も見た目も個性豊かな品種が次々と市場に出回り始めています。
個人的に長野のりんご農家さんを訪ねる中で感じているのは、新品種への期待が年々高まっているということです。夏に食べられる爽やかな早生品種から、糖度が高く子どもでも食べやすいもの、さらには果肉がピンク色をした珍しいタイプまで、選択肢が驚くほど広がっています。
この記事で学べること
- 長野県で誕生した最新りんご品種7種類の特徴と収穫時期がわかる
- シナノリップは青森のつがるより5〜10日早く収穫できる希少な早生品種
- 2020年登録のシナノホッペは秋映とシナノスイートの掛け合わせで誕生
- シナノゴールドはイタリアにも輸出される国際的評価を得た品種
- 開発中の「リンゴ長果36」は高糖度・低酸味・黒星病耐性を兼ね備える次世代品種
長野のりんご新品種が注目される背景
長野県は、青森県に次ぐ全国第2位のりんご産地です。
その中心で新品種開発を担っているのが、長野県果樹試験場。既存の人気品種同士を掛け合わせることで、味・見た目・耐病性のすべてを兼ね備えた次世代品種を生み出しています。
新品種開発の背景には、いくつかの重要な課題があります。温暖化による栽培環境の変化、消費者嗜好の多様化、そして黒星病をはじめとする病害への耐性強化。これらに応えるため、長野県独自の品種改良プログラムが継続的に進められているのです。
夏から楽しめる早生の新品種

シナノリップ
2018年2月に品種登録された、長野県初の本格的な夏りんご。8月中旬から下旬にかけて収穫され、青森県産の「つがる」よりも5〜10日ほど早く市場に並びます。
開花から成熟まで約100〜110日という短さでありながら、酸味と甘みのバランスが良く、シャキッとした食感が魅力。2019年時点で県内栽培面積は89ヘクタールに到達しています。千秋とシナノレッドの交配から生まれた注目株です。
涼香(りょうか)
夏の暑い時期に食べても爽やかに感じられる香りとシャキシャキ感が特徴。
まだ栽培面積は限られていますが、夏のりんご市場に新しい選択肢を提供する品種として期待されています。
秋を代表する新定番品種

シナノホッペ
2020年に品種登録された最新世代の一つ。秋映とシナノスイートという人気品種同士の掛け合わせから誕生しました。
鮮やかな色づきと濃縮された甘みが特徴で、酸味が控えめなため子どもや年配の方にも食べやすい優しい味わいに仕上がっています。貯蔵性にも優れており、シーズン終盤まで品質を保てる点も生産者から高く評価されています。
シナノピッコロ
小ぶりなサイズが特徴の新品種。お弁当や手軽なおやつに適したサイズ感で、食べきりやすさを重視する現代の消費者ニーズに応えています。
晩秋に真価を発揮する高級品種

シナノゴールド
11月中旬から下旬にかけて収穫される黄色いりんご。果肉はパリッと硬く、酸味と甘みが絶妙に調和する、長野県を代表する輸出品種です。
2016年3月、シナノゴールドはイタリア南チロル地方との間で海外ライセンス契約を締結。長野県産りんごが国際市場へ本格進出する象徴的な出来事となりました。
2016年時点で、長野県内の栽培面積は270ヘクタール、全国13府県で合計661ヘクタールにまで拡大しています。
期待される未登録・開発中の新品種
リンゴ長果36(名称未定)
現在開発中の次世代品種。シナノスイートに似た高糖度・低酸味の味わいに、硬めの果肉と紫がかった赤い色づきを兼ね備えています。
10月上旬から中旬の収穫で、黒星病への耐性も持つという点が画期的。農薬使用量の削減にもつながるため、環境配慮型農業の観点からも注目されています。正式な品種名はまだ決まっていませんが、近い将来、新たなシナノシリーズの仲間入りを果たすと期待されています。
リンゴ長果34(キルトピンク)
果肉がピンク色をした珍しい品種。切った瞬間の鮮やかな断面は、SNS映えする新時代のりんごとして話題性も十分です。
新品種を品種特性で比較する
主要新品種の甘さ比較(糖度目安)
季節ごとの収穫カレンダー
シナノリップ・涼香
夏の暑さを和らげる爽やか系。お盆前後から市場に登場。
秋映・シナノホッペ
本格的な秋の味覚。色付きが美しく贈答品にも最適。
シナノゴールド
シーズン終盤の主役。貯蔵性が高く年明けまで楽しめる。
りんごの産地として名高い須坂市や小布施周辺では、これら新品種を直売所で購入できる機会が豊富にあります。具体的なりんご収穫時期の詳細情報を確認しておくと、ベストタイミングでの訪問が叶います。
メリットとデメリットで見る新品種の魅力
メリット
- 既存品種より食味が洗練されている
- 黒星病耐性など環境負荷が低い
- 収穫時期が分散し長期間楽しめる
- 珍しさから贈答品として喜ばれる
デメリット
- 流通量が限られ入手困難な場合あり
- 価格が既存品種より高め
- 地域外では認知度が低い
- 収穫期間が短い品種もある
長野のりんご文化全体を知りたい方には、信州りんごの総合ガイドも参考になります。
よくある質問
長野の新品種りんごはどこで買えますか
長野県内のJA直売所、道の駅、産地の観光農園で入手しやすいです。県外ではオンラインショップ(JAタウンや楽天市場の農家直販店)での予約販売が中心となります。収穫時期に合わせた早めの予約が確実です。
シナノリップとつがるはどう違いますか
シナノリップは千秋とシナノレッドの交配で生まれた長野県オリジナル品種で、つがるより5〜10日早く収穫できます。果汁が豊富で酸味とのバランスが良い点、日持ちが比較的優れている点が特徴です。
新品種の中で最も甘いのはどれですか
糖度だけで言えばシナノホッペが16度前後と最高クラス。ただし、甘さの感じ方は酸味とのバランスや食感によって変わるため、シナノスイートやシナノゴールドも十分に甘く感じる方が多いです。
家庭で新品種の苗木を育てられますか
シナノゴールドなど一部品種は苗木の購入が可能ですが、品種登録された新品種には育成者権による制限があります。家庭栽培を検討する際は、各品種の取扱規程を長野県果樹試験場や認可業者に確認することをおすすめします。
新品種を使ったスイーツ店はありますか
小布施町や須坂市を中心に、新品種りんごを使ったアップルパイやタルトを提供するカフェが増えています。特に秋のシーズンには、シナノホッペやシナノゴールドを使った期間限定メニューが登場することも多いです。
まとめ
長野のりんごは、古くからの名品種に甘んじることなく、常に進化を続けています。シナノリップの爽やかさ、シナノホッペの優しい甘さ、シナノゴールドの国際的評価、そして開発中のリンゴ長果36への期待。
次回りんごを選ぶ際には、ぜひ長野県の新品種に目を向けてみてください。それぞれの品種が持つ物語と味わいは、きっと新しい発見をもたらしてくれるはずです。
