長野県は、日本でも有数の温泉王国として知られています。north alpsから八ヶ岳、志賀高原まで、標高も泉質も異なる個性豊かな温泉地が県内各地に点在しており、古くから湯治文化が根付いてきた土地柄です。個人的にこれまで信州の温泉を訪ね歩いてきた経験から感じるのは、同じ長野県でも地域によって湯の表情がまったく違うということ。乳白色の硫黄泉もあれば、無色透明のアルカリ泉もあり、訪れるたびに新しい発見があります。
この記事では、長野県を代表する温泉地を地域ごとにまとめ、それぞれの魅力や特徴、訪問時のポイントをお伝えします。初めて信州の温泉を訪れる方にも、何度か足を運んだ方にも、次の旅の参考になる情報をできる限り詰め込みました。
この記事で学べること
- 長野県には泉質も雰囲気も異なる個性豊かな温泉地が点在している
- 地獄谷野猿公苑のスノーモンキーで世界的に有名な温泉地もある
- 標高1500m超の高地温泉から渓谷の秘湯まで選択肢が広い
- 四季それぞれに最適な温泉地の選び方がある
- 日帰り入浴から本格湯治まで楽しみ方は多彩
北信エリアを代表する歴史ある名湯
長野県北部、善光寺平から志賀高原にかけてのエリアには、古くから多くの文人墨客に愛されてきた温泉地が集まっています。雪景色の美しさと豊富な湯量が特徴で、冬の温泉旅行先として特に人気の高い地域です。
渋温泉
山ノ内町にある渋温泉は、約1300年の歴史を持つと言われる古湯で、石畳の街並みと木造の温泉宿が昔ながらの湯治場の風情を残しています。9つの外湯をめぐる「九湯めぐり」が有名で、宿泊者には専用の鍵が渡されるため、浴衣姿で夜の温泉街を歩きながら湯めぐりを楽しめます。源泉はすべて自然湧出の掛け流しで、効能の異なる湯を一度に体験できるのが大きな魅力です。
9つの外湯めぐりができる石畳の温泉街
歴史ある湯治場
湯田中駅からバス約8分
¥15,000〜30,000(1泊2食)
ナトリウム塩化物泉など
九湯めぐり
冬の雪見温泉・夕方から浴衣で湯めぐりがおすすめ
湯田中温泉
渋温泉と同じ山ノ内町にある湯田中温泉は、長野電鉄の終着駅「湯田中駅」を中心に広がる温泉街です。江戸時代から湯治場として栄え、俳人・小林一茶も愛した湯として知られています。比較的リーズナブルな宿が多く、志賀高原スキー場や地獄谷野猿公苑への拠点としても便利な立地です。
地獄谷温泉
横湯川の渓谷にひっそりと佇む地獄谷温泉は、温泉に入るニホンザル「スノーモンキー」で世界的に有名になった場所です。宿泊施設は実質的に「後楽館」一軒のみで、秘湯感あふれる雰囲気が魅力。野猿公苑までは徒歩でアクセスし、周囲の自然環境と一体になった入浴体験ができます。
野沢温泉
野沢温泉村は、13の外湯「惣湯」を村民が共同管理する独特の温泉文化で知られています。外湯はすべて寸志での利用が可能で、地元の方々の生活に密着した湯の使い方を体感できます。冬は野沢温泉スキー場、夏は高原リゾートとして年間を通じて楽しめる温泉地です。
13の共同浴場を無料で利用できる温泉村
外湯文化の宝庫
飯山駅からバス約25分
¥12,000〜25,000(1泊2食)
硫黄泉
スキーと温泉を両方楽しみたい方に最適
戸倉上山田温泉
千曲市にある戸倉上山田温泉は、千曲川のほとりに広がる歓楽的な雰囲気も併せ持つ温泉地です。明治時代に開湯し、善光寺参りの精進落としの湯として栄えてきた歴史があります。アルカリ性の柔らかな湯は「美肌の湯」として人気で、比較的アクセスしやすい立地も魅力です。
中信エリアの山岳リゾート温泉

松本や安曇野、乗鞍・白骨といった北アルプス山麓エリアには、標高の高い山岳リゾート型の温泉が多くあります。山の空気と湯を同時に楽しめるのが、この地域の温泉の大きな特徴です。
白骨温泉
乗鞍岳の中腹、標高約1400mに位置する白骨温泉は、湯船に注がれると空気に触れて乳白色に変化する独特の湯で知られています。「3日入れば3年風邪をひかない」と古くから言われるほど効能豊かで、飲泉もできる硫黄泉です。山深い環境にあり、秘湯ムードが濃く漂う静寂の温泉地です。
乗鞍高原温泉
乗鞍岳の登山口にあたる乗鞍高原には、湯けむり館をはじめ乳白色の硫黄泉が湧出しています。夏の高原散策、秋の紅葉、冬のスキーと四季折々の楽しみ方があり、天然記念物の善五郎の滝や三本滝など、自然観光の拠点としても優れています。
浅間温泉
松本市街地から車で約15分という近さにありながら、1300年以上の歴史を持つ浅間温泉は、松本の奥座敷として親しまれてきました。アルカリ性単純温泉の柔らかな湯質が特徴で、松本城観光や街歩きとの組み合わせに便利な立地です。
美ヶ原温泉
浅間温泉と同じ松本市内にある美ヶ原温泉は、より静かで落ち着いた雰囲気が魅力です。美ヶ原高原への登山口としても機能し、クラシックな老舗旅館が点在する風情ある温泉街が広がっています。
扉温泉
松本から入山辺の渓谷を奥へと進んだ先にある扉温泉は、鹿が傷を癒やしたという伝説を持つ秘境の湯です。山間の静けさと良質な湯を求める方に支持され続けている、大人の隠れ家的な温泉地と言えます。
南信・木曽エリアの個性豊かな温泉

諏訪、伊那、木曽といった南信地域にも、歴史と個性のある温泉地が点在しています。中山道や諏訪湖など、観光資源と組み合わせて楽しめるのが魅力です。
上諏訪温泉
諏訪湖畔に広がる上諏訪温泉は、湖を望む眺望と豊富な湯量が魅力の温泉地です。諏訪湖花火大会や諏訪大社参拝と組み合わせて訪れる方が多く、JR上諏訪駅のホームに足湯があることでも知られています。湯量が豊富で、多くの宿で掛け流しの湯を楽しめます。
下諏訪温泉
中山道と甲州街道が交わる宿場町として栄えた下諏訪温泉は、江戸時代の面影を残す街並みが特徴です。綿の湯、旦過の湯といった共同浴場が今も現役で、地元の生活に溶け込んだ温泉文化を体感できます。
昼神温泉
阿智村にある昼神温泉は、南信州最大の温泉地で、「日本一の星空」で知られる阿智村観光の拠点でもあります。トロリとした肌触りのアルカリ性単純硫黄泉は美肌の湯として名高く、夜は星空ナイトツアーとセットで楽しむのが定番です。
別所温泉
上田市にある別所温泉は、「信州の鎌倉」とも呼ばれる歴史深い温泉地で、北向観音や国宝・八角三重塔などの文化財が周囲に集中しています。共同浴場が3軒あり、文学散歩的な温泉旅を楽しめる落ち着いた環境です。
信州の鎌倉と呼ばれる文化財豊富な古湯
歴史散策型温泉地
上田電鉄別所温泉駅から徒歩圏
¥13,000〜28,000(1泊2食)
単純硫黄泉
文化財と温泉
静かに歴史散策と湯を楽しみたい大人向け
鹿教湯温泉
上田市の山間にある鹿教湯温泉は、古くから療養・リハビリの湯として知られてきました。環境省指定の国民保養温泉地でもあり、文殊堂や五台橋といった情緒ある景観も見どころです。湯治を目的に長期滞在する方も多く、落ち着いた滞在を望む方に向いています。
木曽温泉郷
中山道木曽路沿いには、木曽福島温泉、二本木の湯、せせらぎの四季など、複数の温泉施設が点在しています。妻籠宿や馬籠宿といった宿場町観光と組み合わせて、街道歩きの疲れを癒やす湯として活用するのが定番のスタイルです。
東信エリアの高原温泉

軽井沢周辺から佐久、小諸にかけての東信地域も、避暑地文化と結びついた独特の温泉地が広がっています。都心からのアクセスが良く、週末旅行の目的地として根強い人気があります。
中棚温泉
小諸市にある中棚温泉は、島崎藤村が愛した湯として文学ファンにも知られています。千曲川を見下ろす立地と、秋にりんごを浮かべた「初恋りんご風呂」が名物です。信州の季節感を湯の中で味わえる、情緒豊かな温泉地と言えるでしょう。
沓掛温泉
青木村にある沓掛温泉は、鎌倉時代にさかのぼる歴史を持つ素朴な山里の湯です。共同浴場「小倉乃湯」が現役で、昔ながらの湯治場の面影を色濃く残しています。観光化されていない静けさが好きな方にはうれしい存在です。
田沢温泉
沓掛温泉と同じ青木村にある田沢温泉は、「有乳湯」という共同浴場が名物で、ほんのり硫黄の香る柔らかな湯が特徴です。島崎藤村の『千曲川のスケッチ』にも登場した、文学史にも刻まれた静かな温泉地です。
春日温泉
佐久市の山あいにある春日温泉は、田園風景と里山の静けさに包まれた素朴な温泉地です。数軒の宿が点在するのみで、喧騒を離れてゆっくり過ごしたい方に適しています。
長野県の温泉地の楽しみ方と季節選び
長野県の温泉地は標高差が大きいため、季節によって最適な訪問先が変わってきます。自分の目的に合ったタイミングで訪れることで、湯の魅力をより深く味わえます。
季節別おすすめ温泉地の傾向
秋の長野県の紅葉と温泉の組み合わせは、信州旅の醍醐味のひとつです。特に標高の高い乗鞍高原や白骨温泉は、10月中旬から下旬にかけて湯船から錦繡の山を望めます。冬の長野の冬観光では、雪見露天とスキー場の近さが北信エリアの温泉地の強みになります。
日帰りで楽しむ長野の温泉
宿泊せずに気軽に信州の湯を味わいたい方には、日帰り入浴施設や外湯めぐりが向いています。渋温泉や野沢温泉の外湯は宿泊者向けの要素もありますが、多くの温泉地で日帰り利用可能な施設が整っています。
ランチと組み合わせたい方は、日帰り温泉ランチ付きプランを検討すると、食事処の雰囲気も含めて信州らしい時間を過ごせます。また、混浴文化に興味がある方には混浴温泉の情報も参考になるはずです。
初めての方へのおすすめ
初めて長野県の温泉地を訪れる方には、以下の3つから始めることをおすすめします。
🏆 渋温泉
古き良き温泉街の雰囲気、九湯めぐりの楽しさ、スノーモンキーへのアクセスと、信州温泉の魅力を一度に体験できる入門に最適な温泉地です。
🏆 上諏訪温泉
JRでアクセスしやすく、諏訪湖観光と組み合わせやすい立地。宿の選択肢も幅広く、初めての方が予定を組みやすい温泉地です。
🏆 別所温泉
歴史散策と温泉を両立したい方に。北向観音や塩田平の文化財と合わせて、落ち着いた一日を過ごせます。
よくある質問
長野県の温泉地で日帰り入浴は可能ですか
ほとんどの温泉地で日帰り入浴施設や日帰りプランを用意する宿があります。特に野沢温泉や渋温泉の外湯、上諏訪温泉の公衆浴場、浅間温泉の日帰り施設などは利用しやすい選択肢です。宿の日帰り入浴は時間帯が限られる場合が多いため、事前確認をおすすめします。
冬に訪れるならどの温泉地が向いていますか
雪見露天を楽しむなら渋温泉、野沢温泉、白骨温泉、乗鞍高原温泉が定番です。スキーと組み合わせるなら野沢温泉や志賀高原の温泉が便利で、観光拠点として使いたいなら湯田中温泉が動きやすい立地にあります。
泉質にこだわりたい場合、何を基準に選べばよいですか
乳白色の硫黄泉を体験したいなら白骨温泉や乗鞍高原温泉、美肌の湯を求めるなら昼神温泉や戸倉上山田温泉、療養重視なら鹿教湯温泉というように、目的に応じて選び分けると満足度が高まります。宿の公式サイトに泉質と効能が明記されているので、事前に確認するのが確実です。
車がなくてもアクセスできる温泉地はありますか
長野電鉄沿線の湯田中温泉・渋温泉、JR篠ノ井線沿いの浅間温泉、JR中央本線の上諏訪・下諏訪温泉、上田電鉄の別所温泉などは、公共交通機関でアクセスしやすい温泉地です。山間部の秘湯系は宿の送迎バスを利用できる場合もあるので予約時に相談してみてください。
温泉以外の観光と組み合わせるコツはありますか
北信エリアなら善光寺や小布施と、中信エリアなら松本城や上高地と、南信エリアなら諏訪大社や妻籠宿と組み合わせるのが定番です。須坂や小布施といった街歩きエリアを経由して渋温泉に向かうなど、信州らしい街並みと湯を組み合わせると旅の満足度が高まります。
長野県の温泉地は、一つひとつに異なる物語と湯の個性があります。この記事を手がかりに、ぜひ自分に合った信州の湯を見つけていただければと思います。何度訪れても新しい発見がある、それが長野の温泉の尽きない魅力です。
