訪問看護やケアマネらと連携密に〜3市町村と関係団体

2019-10-12 10:24 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須高地域医療福祉推進協議会(須坂市・小布施町・高山村と医療福祉関係団体で構成)は先ごろ、在宅でみとりができる地域を目指して「須高地域医療福祉を考える集い」をメセナホールで開いた。集会は9回目。パネルディスカッションは、末期がんの母を自宅でみとった家族介護者や支援した医師、訪問看護師、ケアマネジャーらが在宅療養の様子や伝えたいことを聴衆に語った。
 退院に当たり、在宅療養生活をサポートするための支援会議(退院カンファレンス、医師や訪問看護師、ケアマネらが出席)を2回開いて準備した。
 介護者の松本ゆりさん(高山村)は、患者本人の希望(家族を心配して家に帰りたい)をかなえるために受け入れ準備をした。「タオルや着替え、薬などが誰でも分かるように配置した。急変は24時間、訪問看護師と連絡が取れるので心配はなかった」と述べた。
 福祉用具はベッド、エアマットレス、食事をするためのオーバーテーブル、リクライニングの車椅子のサービスを利用。入浴は訪問入浴を使った。ベッド上だけでなく、居間で家族と過ごす時間を持ちたいとの希望をかなえるため、訪問リハビリでは、車椅子への移乗の練習をし、安楽な姿勢の調整や痛みの軽減を図った。
 牧京祐(けいすけ)ケアマネジャー(高山村社協居宅介護支援事業所)は「車椅子に乗って桜の花見に出掛けることができたのは、訪問リハビリを利用した成果だ」とした。
 田中久美・訪問看護師(県立信州医療センター看護師長)は「家族の不安を少しでも減らすために自宅療養がイメージできるように支援会議をした。退院当日から訪問し、以降毎日その時に必要な医療処置をさせていただいた。病状が変化していくと本人だけでなく家族も揺れ動くので気持ちに寄り添うことが必要と考え行動した」と説明した。
 在宅医療とみとりで必要なものについて、上沢修・担当医師(県立信州医療センター副院長)は1.介護者(家族)2.24時間体制の訪問看護 3.在宅療養を支援する医師―を指摘。本人に最善のケアは何かを考え、医療チームで行動することが大事―とした。
 牧さんは「家族の大切さを改めて考えた。本人を支援する医療・介護・地域の力が必要で、チームになれる力を地域でつくることも大事だ」と訴えた。
 田中さんは「家族でみとったという力がこれから生きる力になると思う」と述べた。
 前段で講演した生島清身(きよみ)さんは「私もいい人たちに囲まれて人生の最期を迎えたい。この人に会えてよかったと思ってもらえる自分でいようと心掛けたら、そういう人に巡り合えると思う」と助言した。
 松本さんは「多くの人に関わっていただいて母が自宅で快適な最期を過ごせたことをうれしく思っている。皆さんに感謝している。人生の最期をどう過ごすかは私たちの課題。これからも考え続けていきたい」と述べた。
 コーディネーターの下鳥正博さん(須高医師会、下鳥内科クリニック院長)は、元気なときから「自分の望む最期」について、家族や周囲とよく話し合うことが大事として「リビング・ウィル」(人生の最終段階における医療・ケアについての生前の意思表明)や、もしもの時のための考えの共有「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」(愛称人生会議)を紹介した。
 また、須高地区の現状と課題のグラフを示し 1.高齢化率は上がるが高齢者の数は減っていく。ピークが過ぎたので介護施設は充足してきている 2.人口減少とともに高齢者を支える現役世代が減っていき(現状は高齢者1人を1.6人で支えている)、介護力が減っていく 3.高齢者世帯が増加し、公助、共助が限界に達し、自助、互助しか残らないと。
 「隣同士の助け合いが完全に破壊されないようご理解を願いたい」とした。
 約200人が出席。栄養補助食品等の紹介では、とろみ付き飲料(コーヒー、カフェラテ、緑茶など)が選べるとろみ自動調理機などを試した。

2019-10-12 10:24 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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