【台風19号豪雨災害】須坂市〜日常が一変、不安募る避難生活

2019-10-19 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂市北部体育館では、千曲川の越水で住宅が浸水した被災者たちが避難生活を送っている。市によると、避難者は17日現在、北相之島町の住民を中心に144人に上る。
 15日の取材に北相之島町の会社員、原健一さん(49)は「まさか自分が被災者の立場になるとは考えていなかった」。台風当日の12日に旭ケ丘小学校へ避難してから避難生活は4日目。家族と共に北部体育館での避難生活を続けている。
 自宅は床上50cmほどまで浸水。14日にヘドロに覆われた道を歩いて自宅の様子を見に行った。「自分たちの手に負えるような状態ではなかった。がくぜんとしてしまった」と肩を落とした。
 「このような災害がまた起きるのではないか。繰り返すのであれば北相之島には住めないというくらいの気持ちになってしまった」
 そんな不安や複雑な思いを抱えつつ、折れそうな心を懸命に奮い立たせて自宅の片付け作業を始めているのが現状だ。
 15日は「ボランティアの皆さんのおかげで一気にはかどった」。作業で体を動かしても「食欲は出ない」が、この日の夕飯には炊き出しのうどんを食べた。「温かい物をいただけるのはありがたい。支援物資も充実している。見ず知らずの私たちに手を差し伸べていただき涙が出ます」と感謝していた。
 農業の柴田次雄さん(81)は、千曲川の堤防が決壊した長野市穂保地区の住民。須坂市にいる親戚を頼って13日から北部体育館に身を寄せている。
 自宅は堤防が決壊した場所から約100m西側。「波を打ってすごい勢いだった。恐ろしかった」。家族と一緒に1階から2階へ逃げ、13日午前にヘリコプターで救助された。
 自宅の浸水は「1階の天井まであと40cmぐらいのところまできていた」が、その後は「逃げてしまったから分からない」。被災後は帰宅できていない。「被害の状況は報道で知るだけ。現場を見られないことが気がかり」だが、避難生活については「ここ(避難所)の人たちはよくやってくれている。この感謝は忘れない」と話していた。
   ◇  ◇
 旭ケ丘ふれあいプラザには17日現在、北相之島町の高齢者を中心に18人が避難生活を送っている。
 県営住宅に住む80代の夫婦は、水位が上昇した13日午前3時ごろ、ゴムボートで救出された。携帯電話を持っていないため、近くに住む親戚との連絡は途絶え、被害状況を知るすべもなかった。水が引いた14日、近所の人の車で自宅へ。夫は「浸水して畳も家財道具も全部ダメ。ヘドロでベタベタしていてひどい状態。老朽化も進む平屋住宅に住めるのか。先が見えず途方に暮れる」。また妻は「自分では何もできず、何をしていいのかもわからない。とにかく切ない」と、やり場のない思いを吐露した。別の80代女性は「もう疲れました」と、ぐったりした表情を浮かべた。
 さらに別の家族は「おいしい食事を用意してもらうのに食欲がなくて…」「土手の原状回復だけではもう安心して暮らせない」。力ない声を漏らした。

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