【台風19号豪雨災害】須高地区の観光にも打撃〜徐々に回復の兆しも

2019-11-02 07:00 am by 須坂新聞

観光 icon 台風19号の被害は、須高地区の観光にも大きな影響を及ぼしている。年間100万人が訪れるともいわれる小布施町は秋の観光トップシーズンに水害の直撃を受けた。観光客でにぎわう町中心部は浸水被害を受けなかったが、新幹線や高速道が一時不通になり、今も小布施スマートインターが閉鎖されている影響などで観光客が減った。高山村は、豪雨により観光にとって重要な道路などで被害が発生。10月唯一の3連休とも重なり、宿泊の予約キャンセルが相次いだほか、松川渓谷へ紅葉狩りに訪れる行楽客も激減し、商店も打撃を受けた。被災地須坂市は秋に集中するイベントの中止を余儀なくされた。県外観光客の減少に加え、飲食・宴会等自粛ムードが漂う。行楽期はこれから。11月の入り込みに期待が高まる。
 小布施町では台風直後の3日間、小布施駅舎内の小布施総合案内所に「小布施に行っても大丈夫なのか」「道路は通れるのか」といった状況確認の問い合わせが殺到した。
 中核施設の北斎館は台風後の10月14日の入館者が150人。例年の10月だと、平日でも600〜700人、休日なら1日1,000人近くが入るという。
 入館料の違いがあって一概には比べられないが、入館者数はその後、少しずつ増え、27日の日曜日は600人台まで持ち直した。
 北斎館は「秋のトップシーズンに合わせて東京のすみだ北斎美術館から名品を借りて特別展を開いている。会期は11月10日まで。大勢に見てほしい」と話している。
 台風から2週間後の10月26日、小布施文化観光協会や町商工会などは例年の「おぶせ栗祭り」を開いた。やめることも考えたが、被災した人の声を聞き、みんなで話し合って決めたという。ことしは被災農家の栗を焼き栗にして販売した。
 町商工会長の桜井昌季さんは「台風後の2週間で町の来客は6割減った。何か盛り上げないと地域経済が壊れる」。観光協会長の大窪経之さんは「小売りの商店はかなり苦しい」と風評被害が続くことを心配していた。
 高山村では、道路崩落や倒木、停電などの被害が観光に打撃を与えた。山田温泉から山田牧場に向かう県道(豊野南志賀公園線)が一時全面通行止めとなり、この路線で発生した倒木による停電は連休明けにかけて最大60時間にも及んだ。
 村によると、信州高山村観光協会の調査では12〜14日の3連休中、旅館などは予約でほぼ満杯だったというが「3連休だけでも600人を超えるキャンセルがあった」と説明。交通事情や風評被害など、その後の状況を踏まえると実態はさらに厳しいとみる。
 山田牧場では、五色温泉付近にある源泉をくみ上げるための揚水ポンプが停止する事態も発生。23日にようやく復旧した。宿泊施設の男性は「とても宿泊客を受け入れられる状況ではなかった」と影響の大きさを語った。
 雷滝よりやや手前で延長約20mの路肩崩落などが発生した道路は、18日夕方に普通車のみ通行可能(山田牧場まで)になったが、現在も大型車は通行不能のまま。山田温泉から上部の紅葉スポットには観光バスが乗り入れできず、書き入れ時に備えていた土産物店の女性は「これからという時だったから…」と落胆した様子。
 山田温泉で地場産品を販売する店の女性も「(来店客は)例年とは比べものにならないほどの激減。こんなことは初めて」と肩を落とした。
 冬のスキーシーズンを控える中、24日には村と地元関係者が道路を管理する県須坂建設事務所に陳情し、早期復旧を要望。31日、同建設事務所は地元関係者に対し、応急対策で「仮設の橋を計画している」と説明した。工事は11月6日から約2週間を予定している。
 信州高山村観光協会の中村正敏会長は31日の取材に、例年の秋のにぎわいを考えると、「とても観光客が戻ってきているとは言えないが、冬シーズンを前に橋が架かるだけでもありがたい。10月は駄目になってしまったが、前向きにやるしかない」と話した。

2019-11-02 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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