【須坂市議会一般質問】重伝建選定へ意識高揚図りたい〜千曲川越水対策は流域自治体で

2020-12-12 07:00 am by 須坂新聞

政治・経済 icon 市議会12月定例会は1〜4日、17人が一般質問した。荒井一彦議員が重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)選定の進捗(しんちょく)状況の中で、直面する課題と解決策をただした。市は「30年前に目指した折には町並み保存に対する住民運動の盛り上がりがあったが、行政主導の今回は市民理解や機運の高まりが進んでいない。町並みの価値や制度の概要を丁寧に説明し、意識の高揚を図りたい」と答弁した。
 また、将来的な課題と解決策には「伝建制度の導入や建造物の保存に理解を示す所有者でも、後継者の不在など保存に対する不安を抱えている。伝建地区の魅力をPRし、移住やわざわざ店などでの利活用を推進して所有者に理解してもらえるよう不安の解消を図りたい」とした。
 一方、平成元年度に断念した際の課題と原因は解決されたのかに市は「当時人口や交通量の増加が見込まれ、都市計画道路整備などの開発が優先された。都市計画道路の整備と伝統的建造物の町並み保存は相反する事業であることから、課題が解決されたわけではないが、都市計画道路部局とも連携して事業を進めている」とした。
 伝建制度導入について市は「この30年で市内歴史的建物の半数近くが取り壊されているのが現状。これ以上壊されないよう適切に保存活用されることを目的として取り組んでいる」とした。
 塩崎貞夫議員は「市が重伝建選定を目指すことで何がどう変わるのか」と質問した。
 市は「選定されることで、わが国の歴史的都市・集落として広く認められ、地域の誇りとなり、観光や移住など交流人口の増加が期待される。維持・修繕に補助金交付がある。新築でも歴史的景観に調和させる事業は補助金対象となる」
 「固定資産税非課税などの税制優遇措置もある。補助金などを受けながら町並みの価値を高める整備や事業が継続的にできる。価値のある文化財を活用しながら保存する制度なので歴史的景観を残しつつ住みやすい環境を整えることで歴史的遺産が末永く保存活用される地域となる。住民が誇りに思い、地域のにぎわいが創出されるまちづくりにつながる」とした。
 選定後も関わっていくのかには「重伝建選定はスタートといわれているので、文化財の価値や魅力を維持向上させるために市は責任を持つ。そのため市が交付する補助金に国が50%、県が3%を負担する仕組み。重伝建制度は国に選定された後に保存活用計画の下で事業を進める必要がある。設置する伝統的建造物群保存審議会に意見を聞いて補助率等を決め、価値の向上を図っていく」とした。
 シルキービル1階の活用について(荒井一彦議員の質問)で市は「グーライトから提案書の提出を受けたが、子育て支援センターの移転に関する市の要望も踏まえて作成されていた。市産官共創事業実施ガイドラインに基づき、市が抱える課題を解決できるものと判断し9月30日付で提案を採択した」とした。
 久保田克彦議員は、市直営の子育て支援センターを残すこと、継続することが必要だと質問。市は「民間活力やノウハウを生かした方がよりよいサービスを提供できると判断した場合に民間委託を検討している。子育て支援センターは民間のノウハウを生かして駅前ビル1階フロア全体を一体として管理運営していただくことが一番効果的と考え、指定管理委託を検討している」とした。
 北相之島地区の千曲川右岸土のうかさ上げ部分の恒久化は早急に(塩崎議員の質問)で市は「現在千曲川越水が発生した区間の流域自治体(長野、中野、小布施、須坂)と県が連絡協議会を設置して足並みをそろえた対策を協議している。今後千曲川河川事務所に提言する予定」とした。
 子どもの虐待(久保田議員の質問)に、市は2019年度の相談件数を延べ認定102件とした。うち新規は35件。実件数は継続24件、新規9件の計33件。区分別では身体的虐待13件、ネグレクト(養育放棄)11件。主な虐待者は実母が23件。「表に出てこないケースもある」。
 子育ての困難をかかえる世帯に支援が届いているか(同議員)には「市要保護児童対策地域協議会(要対協)の管理ケースでは県弁護士会や須坂署、中央児童相談所、県、市関係課等で構成される実務担当者会議を年3回開いて全ケースを共有しているので、適切な支援は届いていると考えている」とした。
 臥竜公園周辺施設の魅力向上へ指定管理が望ましいとの昨年度調査結果が出た同公園について、石合敬議員は「コロナ禍での臥竜公園民間活力導入は、景気に左右される民間に任せるべきではない」とただした。
 市は「民間事業者の経営力や独創的アイデア・ノウハウ、連携が必要と感じている。本年度は動物園リニューアルや臥竜公園の魅力向上に向けて調査報告を基に検討している。今後、民間に官民連携事業の提案をいただくためのマーケットサウンディング調査を実施したい」とした。
 佐藤寿三郎議員の移住希望要因と移住世帯数の質問に市は「町全体がきれいでコンパクトにまとまっている、医療機関やスーパーが充実、想像より雪が少なく安心、保育園や小学校が多く、高校が3校もある、など生活環境や子育て環境に魅力を感じている。今年4月以降、12月中旬までの移住予定は10世帯20人」と答弁した。

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