2022-02-05 09:31 am by 須坂新聞
新型コロナウイルス感染症の急拡大に伴い、長野県は先月27日から今月20日まで、政府から「まん延防止等重点措置」の適用を受けた。重点措置は外出・移動の自粛を要請しており、須高の観光地も県外客が大幅に減少するなど、影響は大きい。業界では「先行きが全く見えず不安」との声が広がる一方、「顧客ニーズに応えて変革する時。新しいサービスを生み出す好機」と前向きな声も聞かれた。
重点措置適用後、初の土日となった1月29、30日、小布施町の北斎館周辺の通りは閑散としていた。新型コロナが収束傾向にあった昨年秋以降、多くの観光客が訪れ、にぎわいは回復に向かっていたが、再び土産店などに試練が訪れた。
北斎館は「昨年の1月は首都圏で緊急事態宣言が出され入館者は千人に満たなかった。今年の1月は昨年を上回ったが、2年前の2割程度で本来に戻っていない。2月に予定していた高校生ファッションショーを中止、館内ガイドも休止した。入館制限しながら運営するしかない。行政には施設管理や事業、雇用など多面的な補助を求める」と話す。
北斎館周辺の土産物店では「1月に入ると通りが寂しくなり、まん延防止が出されてからは話にならない。政府の支援もあるが、それだけでは賄えないし時間もかかる。見通しが全く立たない」と嘆いていた。
北斎館前の駐車場職員は「コロナが落ち着いていた年末年始、1月8〜10日の連休は1日約40台、バスも5、6台利用があり、冬期間なりににぎわっていた。まん延防止が出た29、30日は十数台でバスはほとんどない。早く解除してもらわないと地域が沈んでしまう」と心配していた。
30日、東京都から訪れた70代の夫婦は「山ノ内町のホテルを約40年利用し、いつも帰りに小布施に立ち寄っている。今年は昨年以上に静かで活気がない」と残念がっていた。
?井鴻山記念館の入館者数は昨年12月929人とこの3年で最も多く、1月は419人で昨年の6割増し。だが重点措置後の29、30日の2日間は2年前の2割未満。同館では「まん延防止の影響が大きい。感染対策しているので地元の人に来館を」と願っていた。
おぶせミュージアム・中島千波館の昨年12月の入館者数は2年前とほぼ同数の659人。1月はコロナ感染拡大の影響で298人と2年前に比べ半減、29、30日は1割程度。同館は「収束の兆しが見えない。ウィズコロナの新生活を取り入れて、公共施設も全て閉鎖でなく感染対策を万全にして少人数を受け入れる方式がいいと思う」と提案した。
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須坂市仁礼町の仙仁温泉岩の湯は、重点措置適用の影響で2月中旬までの客室予約が2割ほどキャンセル。
金井辰巳社長は「ホテル業は、生活環境に加えてコロナ禍で精神的に疲れている首都圏などの人たちを温かく迎えて癒やす役割がある。当社では以前から食堂の個室化、外気に触れる空間作りなどお客さまの信頼につなげてきた。今こそ、アフター・ウィズコロナを見据えて設備投資、サービスの見直しを進めて、お客さまのニーズに応えていきたい」と意欲を語った。
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「とにかく静かで…」。そう話すのは、高山村山田温泉に事務所を置く信州高山村観光協会のスタッフだ。県に重点措置が適用されて以降は、さらに顕著になったという。
冬シーズンが一番の書き入れ時の山田牧場のある宿泊施設では、2月に埋まっていた予約のキャンセルや先延ばしが増加した。
年末年始は連日満室で忙しかったというが、1月中旬以降は「流れが変わった」。県にも重点措置が適用されたように、全国的に感染が急拡大した影響が出ている。
収束の見通しがつかない状況に「仕方ない」と、我慢の日々が続く。それでも悲観的にはなっていない。「(コロナ禍を機に)これからのニーズに合わせた展開を考えていきたい。新しいチャンスでもあるはず」。苦境の中でも前を向く。
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