2023-09-02 07:00 am by 須坂新聞
須坂市は8月27日、常盤中学校グラウンド・体育館、須坂小グラウンドで「総合防災訓練」を開き、一般市民をはじめ、行政・消防関係者、市と災害時応援協定を結んでいる団体や機関などから約350人が参加、各種の訓練や体験に取り組んだ。コロナで中止が続き、4年ぶりの開催。常盤中生徒や市社会福祉協議会主催のボランティア体験教室に応募した小中学生も参加、大人に交じって防災意識を高めた。
須坂市の訓練は、昭和56年8月23日に仁礼地区の宇原川で発生した土石流によって10人が犠牲となった「五六災害」を教訓にしようと、同日を「市民防災の日」に定め、直近の日曜日に4中学校区を巡回して開いている。
訓練は須坂市に大雨・洪水警報や土砂災害警戒情報が発表され、最接近の日には八木沢川が氾濫危険水位に達し、大雨特別警報や最も高いレベルの土砂災害警戒情報が発表された―との想定。2019年10月の台風19号災害を教訓に、水害に特化した内容で行った。
数日前から「須坂市洪水タイムライン」の運用や災害警戒本部設置の訓練を行い、当日の会場での訓練開始前には「災害対策本部」への移行、住民に対する避難指示発令などの訓練も行った。
この本部設置訓練は今まで訓練の主会場で行っていたが、今回から、実際の災害時と同様に、市役所に幹部や担当者26人が集まり、対応を確認した。主会場とはオンラインで結び、情報を共有した。
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一方、常盤中学校グラウンド・体育館、須坂小グラウンドでは応急救護・水防・煙体験・初期消火・給水・土砂災害救助などの訓練や体験を行った。
このうち、応急救護訓練では心肺蘇生法の手順、自動体外式除細動器(AED)の取り扱い方、三角巾の使い方などを学んだ。
AEDの取り扱い方は、市消防本部職員が「AEDに装備されている2枚のパッドは右胸と左脇腹に貼るのが一番いいが、ケガなどをしている場合は極端な例として胸と背中でもいい。心臓をはさみ込むように対角線に貼ること」などとアドバイス、参加者が代わる代わる体験した。
また、水防訓練では「積み土のう工法」を学び、できるだけ平たく隙き間がないように土のうを積み上げた。
訓練には市社会福祉協議会主催の「小中学生ボランティア体験教室」に応募した小5〜中3の約15人も参加。前日からサマーキャンプを行っており、2日目朝の日程として訓練のさまざまなコーナーを体験・見学した。
常盤中2年の田村友里愛さんは「今までしたことがない体験や見学がたくさんできて、とても新鮮だった。段ボールでベッドを作ったけど、とても頑丈でびっくりした。きょうの体験が災害が起きた時に役立てばいいと思った」と話していた。
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終了式で三木正夫市長は「4年ぶりの訓練に多くの皆さんに参加していただき、感謝したい。災害支援には自助・共助・公助という言葉があるが、新潟県を視察した際、糸魚川の大火事を教訓に『近助』も重要ということを教えていただいた。ご近所の付き合いも助け合いには非常に大切なことと思う。行政として災害時に一番大切なのは迅速な対応であり、防災・減災に関するご提言があればぜひ寄せていただき、検討したい」とあいさつ。
また、市区長会の市村高弘会長(八幡町区長)は「今回の訓練は住民の避難行動を重視した内容で体験型が多く、災害時に自分は何ができるのかということを学べて非常に有意義だった。小さな訓練の積み重ねが大きな災害を防ぐことにつながる。自分たちができることは自分たちで行うことが、私たち市民が持つべき考え方だと思う。この訓練で防災に対する意識の高揚がより一層図れたものと思う」と講評した。
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