2024-02-23 07:00 am by 須坂新聞
須坂市小中学校適正規模等審議会は18日、市内小中学校の適正な規模・配置のあり方についてまとめた答申書の内容を説明する報告会を旧上高井郡役所で開いた。会場とオンラインを合わせて市民ら約50人が参加。審議会は、小中一貫教育の推進や多様な価値観と出合える学校規模などを求める提言を示し、参加者の意見を聞いた。
審議会は昨年12月、子どもの学びのあり方検討会議の提言(2021年度)と、それを基に市教育委員会が作成した「新しい学びの形(須坂モデル)」の実現に向けた答申をまとめた。(1)幼児期からつながる小中一貫教育の推進(2)学校の適正規模(3)学校の適正配置(4)学校再編の進め方(5)留意点―の五つの柱で市教委に提言した。
報告会では、コーディネーターを務めた会長の勝山幸則さん(元常盤中校長)が概要を説明。1学年あたりの学級数は小学校2〜3学級・中学校4〜6学級、1学級あたりの人数は小中学校ともに30人以下21人以上が望ましいとする学校規模や、市全体を対象にした再編の進め方などの提言内容を示した。
出席したパネリストの委員6人のうち、坪井扶司夫さん(墨坂中校長)は適正規模について、クラス替えができる環境の必要性に触れ「多様な学級文化に接しながら、新たな学級文化をつくっていく過程で、より良い中学校生活を築いていくためのたくましさや柔軟性、創造力が培われていく」と語った。
本多健一さん(前須坂高校長)は、保護者や教職員に実施したアンケートで、子どもたちに育みたい能力として非認知能力が上位を占めたことを挙げ「こうした能力は一定の集団の中でしか育たないと感じている。社会や世界は多様性に満ちている。そのための教育環境を整えるべき」と主張した。
清水貴夫さん(須坂小教諭)は、留意点の一つにある子どもの学びを支援する体制の充実に向け「小規模校では教職員が学校運営に関わる仕事をいくつも抱えることになる」とし、「一人一人の子どもの育ちを支える時間が増えることを望んでいる」と期待した。
他にも、幼児期からの学びの連続性や、地域・企業が学びに関わる重要性、地域差が生じないための再編の進め方などについて説明があった。
参加者からは「多くの仲間と語り合うことは自分が思ってもみなかった考えに出合ったり、自分の思いを深めてくれたりする機会になる」、「子どもたちの成長を考えた上でどんな学びが必要かがまとめられている。魅力ある学校づくりに期待したい」と、前向きに捉える意見が出た。
一方で「小規模校でも工夫をすれば多様な価値観を育てられるのではないか」、「子どもの価値観を生むのは学校だけではない」と指摘する声も上がった。「集団から外れてしまう子どもが不利益を被っている事実がある。格差や差別をつくらないようにして」と求める参加者もいた。
市教委は新年度、答申を基に基本方針を作成する。今後は「基本方針の原案ができた段階で市民の皆さんに説明する機会をつくりたい」としている。
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