中学校部活動の地域移行に向け「須坂AC」試行

2024-05-18 07:00 am by 須坂新聞

学校・教育 icon 4月27日、須坂市の東中学校グラウンドに市内外の中学生50人が集まった。中学校部活動の地域移行に向け、昨年度立ち上げた陸上競技の地域クラブ「須坂AC(アスレチッククラブ)」の本年度の活動初日。子どもたちは自由に走ったり、跳んだり、投げたり。大人はそれを見守り、サポートする。和やかな雰囲気が印象的だ。
 クラブは市教育委員会と連携し、昨年12月から月1回、試行的に活動。同年5月ごろから定着した合同練習をきっかけに、市内では先行した取り組みを進めている。
 本年度は4月末現在、市内外の2、3年生約60人が登録(1年生は今後)。指導者は須坂陸上競技協会会員など8人。元中学校教員で東中部活動指導員の前川和夫さん(67、須坂市新田町)が代表を務める。
 前川さんは「部活動の地域移行は民間クラブの活動とは違う。教育的な意義を大切にし、子どもたちの人生に寄り添っていきたい」と思いを語る。
 クラブの目標は「仲間とともに運動やスポーツを好きになる」こと。中学生が喜んで集まってくる“遊び場”づくりに力を注ぐ。
 練習メニューはなく、自主性を尊重。指導者の役割は、生徒たちが達成したい目標に向かっていくための援助だ。「子どもたちとのやりとりを大事にしている」と前川さん。
 生徒らは「強制的にやらされると嫌になったり、辞めたくなったりするかもしれないけど、須坂ACはやりたいことができる」などと歓迎する。
 個々のレベルの差は関係ない。「大会で記録を狙いたい」「陸上を楽しみたい」といった異なるニーズに対応。当初はレベルに応じて別々に活動する案もあったというが、生徒たちの声を聞き、全員が一緒に活動するやり方を選んだ。
 生徒の一人は「レベルの違いは気にならない。お互いに高め合える」。別の生徒は「他校の生徒と触れ合える機会はあまりない。みんなで一緒に楽しめるやり方はめちゃくちゃ良い」と受け止める。
 活動は休日の午前8時から10時までの2時間。短時間で充実した内容を目指している。陸上は高校から専門的に始めても高いレベルが望めるスポーツとし、中学生にはいろいろな種目が楽しめる機会をつくる。短距離が好きという生徒の一人は「今まで以上に陸上が楽しい」と話した。

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