2024-07-27 07:00 am by 須坂新聞
アフリカやアジア、オセアニアの計9カ国の母子保健行政官ら12人が19日、須坂市を訪れた。市発祥の「保健補導員」の取り組みや母子保健事業を視察し、地域に根差した活動に学んだ。
独立行政法人国際協力機構(JICA)が主催する研修プログラムの一環。公益財団法人ジョイセフが協力した。妊産婦(女性の健康)の視点で、妊娠初期から産前、産後ケアに至るまでの強化が狙い。発展途上国では、妊産婦や乳幼児の死亡率が高いという。
研修では、市保健師が「2022年の早期新生児死亡数と妊産婦死亡数はゼロ」と紹介。行政と保健補導員会が共に取り組んできた母子保健活動の成果を示した。保健補導員らも参加し懇談した。
保健補導員制度は1945年、戦後住民の健康管理のために奔走していた保健婦(現保健師)の活動をきっかけに、旧高甫村から始まった。54年に市保健補導員会が発足し、市全域に拡した。
当初は寄生虫予防や家族計画の促進が活動の柱で、時代によって変化する健康課題に対応。近年は認知症予防の健康体操の普及や、子育て中の母親が集まる「子育て広場」なども開催している。
本年度からの第34期は10ブロック・256人が活動。生活習慣病予防を図る野菜摂取や減塩の食生活、健診受診による病気の早期発見を重点にしている。
任期2年で全員が交代する理由について、保健師は「健康づくりの学習をした住民を増やすため」とし、「8,000人の経験者がいる」と説明した。
フィジーの行政官で医師のデビ・レイチェル・レニータさん(42)は「住民自身が健康改善に貢献した事実に感銘を受けた」と評価。自国での政策立案に向け「市町村ごとに妊産婦死亡率のデータを集めるところから始めたい」と話した。
視察団は15〜19日に県内で研修した。市では1歳6カ月健診の見学や、妊娠期から切れ目のない支援体制についての説明も受けた。
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