2006-07-31 12:00 am by 須坂新聞
須坂市相森町で19日午後5時半ごろ、大雨で増水した水路に市内に住む20歳代の女性が流され、助けを求めているところを、通り掛かった長野堀川販売北須坂給油所に勤務する小林和弘さん(42、中野市)が見つけて助け出す出来事があった。
女性は飼い犬の散歩の途中、JA須高共選所の辺りで犬が水路に落ちてしまい、助けようとして本人も水路に入って犬を抱えたが、流れが急で一緒に流されてしまったという。暗いトンネルの中を通り、自分も危険を感じたため、犬を放し、20メートルほど下流の相森町公会堂の前で助けられた。
当時は活発な梅雨前線の影響で須坂市でも雨が続き、深さ、幅とも60センチのコンクリートU字溝の水路が増水し、激流となっていた。
小林さんは「灯油の配達途中、助けて―と叫び声が聞こえた。車を止めて辺りを見回すと、女性が水路の中にいた。周りに誰もいなくて、自分が助けなければと思い、タンクローリーのホースを命綱代わりに自分の足に巻き、女性の手を力いっぱい引き上げた。女性はくちびるを真っ青にして震えていた。自分も怖くて足がガクガク震えた。おじさんありがとう―と言われ、お兄さんだよ―と返したらプッと笑ったので安心した」という。
飼い犬も数百メートル下流の防火水槽の辺りで無事保護され、市役所を通じて家に帰ってきたという。
小林さんは中野市の消防団組織に入っているが、一人で救助活動を行ったのは初めて。「人も犬も助かって良かった」と話している。女性は「流れが速くて水路から出られる状態でなかった。小林さんには感謝の気持ちでいっぱい。命の恩人」と話している。
コンクリートU字溝は自然の障害物がある土側溝と違い、大雨で増水した時に水がスピードを落とさずに一気に流れ、下流で水があふれるなどの水害を起こしやすく、人が流されやすいという危険性も指摘されている。
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