須坂市動物園/喜びも悲しみも〜脚切断の「ゆり」必死の出産も…

2007-06-24 07:00 am by 須坂新聞

観光 icon 須坂市動物園で19日、国天然記念物のニホンカモシカ「ゆり」(写真)が人知れず、1匹の赤ちゃんを出産した。ことし2月、小布施町で複雑骨折をした状態で発見され、同園で保護していたが、妊娠を誰にも気づかれることなく出産の日を迎えた。しかし、赤ちゃんは生まれてからの経過が思わしくなく、翌日になって静かに天国へと旅立った。
 保護当時ゆりは、放置すれば骨折した右前脚の筋肉が壊死(えし)して命に危険が及ぶ可能性があり、右前脚の切断手術を受けた。そのころは妊娠初期〜中期。外見では分からず、最近になっても少々肉付きが良くなったと職員に安心感を与えるくらいだった。
 ゆりは19日午後3時過ぎに出産したと思われ、4時ごろに飼育員の羽生田実さんが発見した。自力で立ち上がることができなかったため翌日、人工保育に切り換えた。腕の中でほ乳びんのミルクを少しずつ飲み、時折鳴き声をあげる赤ちゃんを見ながら、羽生田さんは「気長に見守りたい」とやさしくなでた。
 その数時間後、赤ちゃんは息を引き取った。羽生田さんは「ゆりが大きなけがを負いながらも、自分の命だけでなく、宿した小さな命もつなぎとめようと必死だったことを初めて知った。脚の切断手術でゆりの命を助けることを優先したが、その際の麻酔が胎児に影響したことも否定はできない。でも、今まで育て、立派に出産してくれた。母性の強さ、命の尊さを教えてくれた」と話す。
 はかない命が消えてしまった一方で、いくつかの新たな命も誕生している。シチメンチョウの卵が3羽かえり、あと3カ月ほどで公開予定。ニホンシカの赤ちゃんも1頭生まれた。ベンガルトラの仲間入りも近々予定している。大人気のアカカンガルー「クララ」の赤ちゃんも順調に育ち、もうすぐ袋から顔を見せてくれそうだ。

◇須坂市動物園/入園者早くも10万人突破
 須坂市動物園の今年度の入園者数は早くも今月16日に10万人を突破した。大幅に記録を更新した昨年度よりさらに2カ月早いペースで、年間23万7,000人を大きく上回ると予想されている。

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