信大1年生が須坂で課外授業

2014-03-21 07:00 am by 須坂新聞

学校・教育 icon 須坂市は昨年10月から今年1月まで、信大寄付講座「『田園環境健康都市須坂』を『共創』」を開いた。市民や市職員らが15回にわたって基礎自治体の課題解決に向けた実践例を紹介したが、その信大全学教育機構(松本キャンパス)から受講した1年生19人と教員3人が13、14の両日、市内を訪れ、12カ所で視察研修した。
 昨年10月に設立された信大地域戦略センター(松本市、センター長・笹本正治副学長)の支援で、寄付講座とは別に課外授業が実現した。同センターは地域課題の解決に向け、産官・住民と連携して地域活性化を図る。今回は文科省に採択された「地(知)の拠点整備事業」の一環で、地域志向教育研究支援事業を活用した。
 昨年12月に講義した塩野真奈美さん(須坂煎餅堂)は、3年前の開店に至る経緯など学生に紹介した。1枚ずつ手描き体験するオリジナル煎餅をあえて店の特徴にしたという。講義では「将来何が役立つか分からないので挑戦して」と期待を込めた。体験で学生は、砂糖とゼラチンでつくる色粉(赤緑黄青白)に思いを表現した。
 一方、n-styleの浅野隆義さんは、今年1月の講義でPTA活動や6店でつくる須坂のイベントなどを紹介した。「話をよく聞いてくれた。店を知っている学生もいた。あるがままに生きることを講義で伝えた」。
 同店で喫茶休憩した仲本圭佑さん(19、理学部)は「企画力のある人で、店の様子など現実を見て納得した」と取材に答えた。
 また、昨年11月に講義した中沢定幸さん(中沢デザイン事務所)は、デザインと須坂の関係を紹介した。
 中沢さんも参加するヤンネ(生活雑貨やオリジナル作品販売)に入店した中村円香(まどか)さん(19、理学部)は「かわいい品にテンションが上がり、講義者に再会できてうれしい」と述べた。
 開業2年目を迎えたゲストハウス蔵の山上万里奈さんは、昨年11月に講義した。須坂で開業するまでの経緯や宿の内容、客の様子などを紹介した。「外国人も国と国でなく、人と人との関係が築けることを伝えた」。
 見学した学生は「伝統的家屋は落ち着く」「おしゃれな宿で夜の雰囲気も味わいたい」と感想を交わした。
 昨年10月に講義した本藤浩史さん(信州須坂老舗百年会会長)の糀屋本藤醸造舗では、みそ蔵を見学。大きな木桶などを目の当たりにし、甘酒・みそ玉菓子を味見した。
 本藤社長は「みそ蔵見学は初めての人が多く、感動していた。甘酒の匂いや木桶の大きさなど五感で感じ、実感が湧いたようだ」と学生の様子を語った。
 研修はほかに、田中本家博物館や須坂支援学校、人形博物館、版画美術館、クラシック美術館などで行った。
 蔵の町並み散策では先ごろ、須高ケーブルテレビが須坂市から事業委託を受けて開発した観光アプリ「須坂まちウオーク」(スマホ向け拡張現実=AR=機能)を使って施設紹介などを試した。
 初日の日程を終えた荒木太輔(たいすけ)さん(19、経済学部)は「蔵や町並みが残る須坂はすごいまちで、ゲストハウスは思ったより入りやすかった」。栗原侑(ゆう)さん(20、同)は「中沢定幸さんが印象的。売っている物は地域のイメージやデザインで魅力的だった」。
 太田真衣さん(19、教育学部)は「出身地の松本のまちとも違う心地よさを感じた。浅野隆義さんの考え方が参考になった。経営者の視野が広かった」。高見沢彩(あや)さん(19、同)は「歩いて見て回れるコンパクトなまち」と述べた。
 担当教官の杉本光公(みつきみ)機構長補佐(健康科学教育部門准教授)は「須坂はいいまちと実感した。授業でそれぞれ講師の話を聞き、現場を見ることでより実践的になった」と取材に答えた。
 全8学部共通の須坂寄付講座は、約50人が選択受講した。毎回90分講義の終了後にレポートを提出し、講義者が評価した。今回の研修には2人の須坂出身学生も参加した。

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