東中で講演会〜ソチパラ出場の信大生山崎さんを招く

2014-11-01 07:00 am by 須坂新聞

学校・教育 icon 東中学校はこのほど、ことし3月のソチパラリンピックアルペンスキーに出場した山崎福太郎さん(22、信大教育学部4年)を招き、講演会を開いた。福祉体験学習の一環で3年生71人が参加。自身の障害を「個性」と捉えて生きる山崎さんの言葉に耳を傾けた。
 山崎さんは上田市出身。先天性絞扼輪(こうやくりん)症候群により、生まれつき右手と左足に障害があった。生後2週間で右肘から先を、6カ月で左膝下を整形手術し、7カ月目から義足を着けて生活している。
 負けず嫌いな性格で、小学校時代は「周りの友達と何でも一緒にやりたかった」。中学では柔道部に入り高校でも続けたが、義足での公式戦出場が認められず、「初めて障害を自覚した」と言う。
 それでも目標を大会出場から初段(黒帯)取得に切り替え、2年の夏に取得。一つの目標を達成し、行き詰まりを感じていたころに知ったのが障害者スキーの世界だった。「新たな道を見つけた」。高校2年の冬から本格的に競技を始めた。
 卒業後はソチパラリンピック出場と中学の社会科教師になる夢をかなえるため、信大教育学部に入学。勉強とスキーを両立させて夢を追い掛けてきた。
 大学4年になり、パラリンピックの出場権獲得を目指し、昨年10月から半年間の休学を決意。徹底的にスキーに打ち込み、ことし1月、念願の代表に選出された。ただ、代表選考レースで国内条件をクリアできず「実力で代表になれなかった」。悔しさが残る中、自身の弱点や課題から逃げないことを心に決め、「パラリンピックで成長したい」と大舞台に臨んだ。
 立位(まひや切断で足や手に障害がある人の区分)の回転、大回転の2種目に出場。結果は回転30位、大回転26位で目標の8位入賞には届かなかったが「自分を見つめ、弱さに気付くきっかけになった」と振り返った。
 自身の障害については「障害があることが当たり前。努力をしようとか頑張ろうとは思ったことがない」と説明。「周りから頑張っていると思われるのは仕方ない」とした上で、「その人がどう思っているかを一人一人が考えていくことに意味がある」と生徒たちに呼び掛けた。
 山崎さんは友達の存在の大きさや、教師とのエピソードなどにも触れ「もし僕に手と足があったら山崎福太郎ではない。僕の手と足は個性」と語った。
 また、講演後の座談会では無意識に手を隠していた経験や、「悔しい」という気持ちが原動力になっていることなどを紹介。「宝物は今まで生きてきた経験」と話した。
 同校では現在、キャリア教育の構築を進めており、3年生は「考える」をテーマに進路学習と福祉体験学習を主な活動としている。前日には高齢者疑似体験と車いす体験を行った。

2014-11-01 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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