2014-12-13 07:00 am by 須坂新聞
第57回全国味噌(みそ)鑑評会(中央味噌研究所主催)は先ごろ、東京都内で表彰式を行った。「農林水産大臣賞」に穀平味噌醸造場(小布施町伊勢町、小山洋史社長)が輝いたほか、須坂の5社が入賞した。みそ製造者の醸造技術の向上を目的に全国40都道府県から421点が、県内からは98点が出品された。農水大臣賞合計6本のうち3本が県内。うち2本は高水加盟社。須坂市、小布施町の6社すべてが入賞した。
農水大臣賞に初めて輝いた穀平味噌醸造場の銘柄は「穀平豊醸みそ」。受賞は「赤色系こし」の部。小山社長は高水味噌醤油(しょうゆ)工業協同組合理事長を務め、県品評会の審査員もしている。
取材に「県品評会も甲乙つけがたい。全国もいろんな審査員の思いや好みが集まって審査されることだろう。出品時は入賞できればいいと思っていたが、色や味などのバランスが取れ、たまたま評価が集まったのか。今年は熟成中の温度管理を工夫した。工場内で1階と2階を移動させ、1?の高低差を利用した」と話す。
県品評会は昭和63年に特殊みそで入賞。その後、平成14年から毎年出品している。全国も同年から毎年出品している。滝沢一男工場長は入社16年目。
一方、「全国味噌工業協同組合連合会会長賞」に入った塩屋醸造(須坂市新町、上原太郎社長)の銘柄は「塩屋のこうじみそ」。部門は「淡赤色」。淡色と赤色の中間。市販で一番多い色の部。
上原社長は「定番商品へのフィードバックのための挑戦と位置付け、原料大豆は定番すべてをJA安曇の契約栽培に切り替えた。来年仕込み分からは米も安曇野産契約栽培となり、安心安全の品が継続できる」と話す。
同社の小林秀寛(ひでのり)さん(41)は入社22年目。2回目の優秀技術者表彰(4回入賞につき表彰)を受賞した。「みその奥深さが分かってきた」。小林秀久工場長は「レベルが上がっている全国で狙い通りのいいみそができてうれしい」と話す。写真は両小林さんと千村貴之さん。
同様に、中村醸造場(須坂市本郷町、中村元保社長)は「北信濃まるゆき味噌」で「全国味噌工業協同組合連合会会長賞」に。部門は「赤色系粒」の部。
入社2年目の中村友紀(ゆうき)専務(25)は「全国の評価基準にようやく追いついた。色のさえがきちっとした赤色を出すことができた。鎌田光大製造主任のこうじ管理が適正にできた結果。商品の品質向上に励みたい」と話す。鎌田製造主任(26)は入社10年目。
糀屋本藤醸造舗(須坂市村石町、本藤浩史社長)の「信州蔵出しみそ」は、「一般社団法人中央味噌研究所理事長賞」に。受賞は「赤色系・辛・こし」の部。本藤社長は「高温にならなかった夏は色づきを意識した。大豆こうじの配合割合を増量に変え、色がつくように熟成させ、満足のものができた。例年より色がついた」。
千日みそ(須坂市上町、遠藤博昭社長)は3年ぶりの出品。銘柄「千日みそ」で「全国味噌鑑評会審査長賞」に。部門は「赤色系・辛・粒」。製造部担当の矢島(やしま)春樹さん(36)は入社16年目。平成16、19、23、26年と全国入賞は4回目。「照り、さえ、うま味があるよいものができた。暑かった夏は室(むろ)に入る熱を遮り、夜間は室を開放し、温度管理を工夫した。入賞した技術を市販品に生かしたい」。
同様に、土屋味噌醤油醸造場(須坂市東横町、土屋味代社長)の「ヤマロク吟醸みそ」は「全国味噌鑑評会審査長賞」に。「赤色系・辛・粒」の部で。
入社14年目の土屋公人専務兼工場長(35)は、平成18年から9回目の出品で2年連続3回目の入賞。「発酵が旺盛なこうじ菌に変え2年目。より工場環境に適することが分かった。表彰式に出席し、より上を知り、奥が深いみそ造りの目標ができた」と話す。
みその生産量は、消費減に伴い減ってきているというが、安心な食が海外で評価され、訪れる外国人の購入が少しずつ増えてきているという。小山理事長は「工場見学だけでなく、味を確かめる外国人が増えてきた。発酵食品の良さをあらためて日本人にも分かってほしい。高水地区は各社素晴らしいみそを造っているので消費拡大に努めたい」と話す。
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