アフガン支援の中村医師〜「日本の良心」で活動

2008-06-03 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon パキスタンやアフガニスタンで医療や水源確保、農業などの支援活動を行っている医師中村哲さん(ペシャワール会現地代表)の講演会「医者、用水路を拓く」が24日、憲法九条を守る須高連絡会などでつくる実行委員会(桜井佐七代表)の主催でメセナホールで開かれた。満席の約1,100人が、中村さんの現地に溶け込んだ活動の様子を聞き、国際貢献の在り方を考えた。
 中村さんはアフガニスタンの現状を「人口3,000万人のほとんどが農民。谷ごとに30以上の民族がひしめき、イスラム教を絆に国をまとめている。近年の大干ばつで国民の半分が食べていけず、都市に干ばつ難民が流入。高水準の医療を持ち込んでも、99%の人は数十円の金がなくて死んでいく」と説明。
 アフガン戦争のさなか、1984年にパキスタンのペシャワールの病院に赴任。ハンセン病治療を中心に貧困層の診療に携わり、その後、アフガン難民のために同国山岳部に3つの診療所を設立。98年に基地病院をペシャワールに建設した。「年間87,000人を診療している。患者の気持ちを理解することに20数年間エネルギーを尽くした」という。
 「飲料水があれば病気は治ると考え、2000年以降はアフガニスタンで1,500カ所の枯れ井戸と40カ所の地下水路を再生。今は農業用灌漑用水路を整備している。年間3億円の活動資金は全て20,000人の賛同者の寄付。日本人だから仕事がうまく進む。広島と長崎から立ち直り、その後半世紀、他国に戦争したことがない美しい国として憧れが強い」
 対テロ戦争が始まり日本へのマイナスイメージが広がりつつあるという。「国連制裁で私たちが見たのはアフガニスタンへの無差別爆撃。必要なのは爆弾ではなくパンと水。日本でもテロ戦争といえば何でも通った当時、6億円以上の資金が寄せられ、職員20人で食糧を配給した」。
 活動を通して「金さえあればなんとかなるという思い込みから自由にものを見る目を持つことができた。私たちの活動はチャリティーではなく、自分たちの行く末を見ている。日本の良心で活動続ける」と話した。
 憲法九条について会場から意見を求められ「武力を使わない融和の仕方は国と国の関係でもいえる。互いの命を尊重する考えはどこでも受け入れられる。私たちのアフガンでの仕事で実証されていると思う」と訴えた。
 講演後、桜井代表の掛け声で「中村先生がんばれ」とエールを送った。入場料と会場カンパは全額、中村さんとペシャワール会の活動に役立てるという。



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