【特集/地域医療2】「上手な医療のかかり方」〜小林推進役に聞く

2009-01-03 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 医療機関は診療報酬制度(保険者が医療機関に医療費を支払う制度)の改定とともに診療体制を変えている。今日の医療のあり方について理解を深めるため、須坂市地域医療福祉推進役の小林美佐子さんに「上手な医療のかかり方」を聞いた。
■連携・協力による地域内完結医療を
◇小林 2000年の医療制度改革で新しい医療の考え方が示された。医療現場では1病院で診断から治療の終了まですべて行う院内完結医療は難しい時代となった。須坂病院など急性期病院(救急医療や専門的検査、手術などを行う)では周辺の診療所(医院)や病院、老人保健施設などと連携・協力して医療にあたる地域内完結医療を行っている。
◇記者 医療制度改革の内容は。
◇小林 2000年の診療報酬改定で地域医療連携が注目され、須坂病院は01年に現在の地域医療福祉連携室を開設した。
■地域との橋渡し役としての連携室
◇小林 02年の改定では病院と診療所の連携を強化するために「急性期入院加算」を設け、その要件として、診療所等から病院への紹介率を30%以上、入院できる平均在院日数は17日以下とされた。診療所や老人保健施設などと病院の橋渡し役の連携室の機能は不可欠となった。
■急性期→亜急性期→慢性期
◇小林 03年には病床区分ができ、一般病床(急性期)と療養病床(慢性期)に分けられ、須坂病院は一般病床(急性期)を選択して届け出た。04年には亜急性期入院医療管理料が設けられ、須坂病院は今16床を届け出ている。この病床は急性期治療が終わり、在宅復帰で退院準備のため90日を限度に入院できる。
 06年の改定では点数誘導から本来の連携へと大きく変わった。
今まで以上に病院・診療所の役割分担が明確化され、病院は入院医療を、診療所は外来や在宅医療を担う。特に国が目指す在宅医療を進めるにはかかりつけ医が大事になった。急性期・慢性期疾患の機能分担では一般病床、療養病床、介護療養型(老健転換含む)などより明確になった。
■在宅医療を担うためのネットワークづくり
 また、地域ネットワーク化では病床規模別や機能別、役割分担別の考え方と、保健・医療・福祉施設・居宅介護サービス事業者間の連携が大事になった。
 08年の改定は、勤務医負担軽減策として診療所とのさらなる連携、特に後期高齢者医療においては退院調整の重要性が挙げられている。看護師やケースワーカーが退院支援担当者として連携室に配置されるようになった。患者側は退院後の受け皿がないまま追い出されると感じる状況はなくなり、退院後も支援は継続される。
■個々が上手な医療のかかり方を心がける
◇記者 病院と診療所の役割分担とは。
◇小林 病状が安定し普段の健康管理を担うのが診療所(かかりつけ医)。専門的な検査や入院治療を担うのが須坂病院などの急性期病院。診療所と病院を結ぶのは紹介状(診療情報提供書)で、須坂病院では01年から登録診療所と書式を統一して使っている。
 地域住民が適正で効果的な医療を受けるためには、一人ひとりが医療体制を十分理解することが必要となる。

2009-01-03 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



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