2009-01-18 07:00 am by 須坂新聞
■須坂市は金融支援
世界的な金融不安や景気後退の影響で、須高地区の雇用情勢が一段と厳しくなっている。それに対して行政や商工団体などに独自の対策や連携の動きが見られる。須坂市は中小企業支援などの経済対策を打ち出し、1月14日の臨時議会で議決となった。須坂商工会議所は市との連携で地元企業の実態を調査したり、雇用対策セミナーなどを開催。須坂公共職業安定所は管内の行政や商工団体などに呼び掛けて地域雇用対策推進協議会を開き、情報交換と相互連携を訴え、雇用維持・確保に努めることを確認した。
須坂市が今回打ち出した中小企業支援策の一つは市制度資金の利子補給。市は現在、限度額1,000万円から3,000万円の経営安定資金などを年2%程の利率で融資している。支援策は0.2%の利子補給を2年間実施する。また、市内在住の離職者18人を臨時職員として雇用する。
昨年11月、県内19市で一番早く、緊急総合経済対策本部を設置し、各種相談窓口を充実させた。市制度資金への申し込みは昨年12月に急増し、11〜12月の2カ月で57件と昨年比で3倍強となっており、4月以降の累計では177件。
産業振興部は「雇用確保には企業を強くすることが大事。国、県などと連携し対策を取っていきたい」と話す。
■須坂商工会議所は調査
須坂商工会議所は12月、地元企業の実態を調査するため、市と合同で市内の製造業50社を対象にアンケートを実施。景気低迷の影響で、圧迫を感じている企業が92%にのぼることが分かった。
影響の大きい項目として▽受注引き合いの減少▽原材料・仕入れ品単価の上昇▽生産量減少―など。対策としては▽業務効率化▽人件費削減▽省エネ―などが上位を連ねている。支援策としては▽金融支援▽省エネ設備の支援導入―のほか、下請け取引の適正化、専門家派遣などを求めている。
また、独自の210事業所(従業員数1,200人)の調査では、12月時点で80人が非自発的に離職しており、須坂市内の勤労者数(約22,000人)から推定すると、単純計算できないが1,400人もの離職者も考えられるという。企業等を対象にした相談窓口では12月からの相談が急増する。雇用主らを対象とした2回目の雇用対策セミナーは今月26日に開く。
同会議所は「受注が大きく減少し、設備投資が生かされていない。業務効率化などの対策も限界。想像以上の厳しさ」とする。
■須坂職安は対策会議
須坂職安は行政、商工団体等を招いた8日の会議(写真)で管内の雇用情勢を次のように報告した。
▽昨年12月の新規求人数は前年同月比25%減。新規求職者数は前年同月比47.4%増▽正規と非正規を含めた雇用調整は昨年5月〜12月は13件270人、今年1月〜3月は3件136人がすでに判明。主に製造業や卸・小売業▽求人倍率は6月以降0.7倍台で推移▽技術関係や介護サービス等の求人は多いが、資格が必要なため対応できる人が少ない―など。
同安定所は「バブル崩壊の時以上に深刻な状況で、紹介できる仕事が少ない。3月に派遣社員の契約期限が切れる2009年問題があり、2月にジャスコ須坂店の閉店など、雇用環境の悪化が見込まれる」と心配する。
また、「雇用主を対象に支給する雇用調整助成金、中小企業緊急雇用安定助成金などの周知徹底をお願いしたい」と呼び掛け、さらに雇用情勢が悪化した場合は「管内関係者で支援策を検討する場を設けたい」としている。
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