2015-07-25 07:00 am by 須坂新聞
国の文化審議会は17日、JA須高井上支所(幸高町)を国の登録有形文化財(建造物)に登録するよう文部科学大臣に答申した。登録が決まる日時は未定。JA須高井上支所は昭和3年の建築で、明治と大正、昭和前期の特徴を併せ持つ洋風意匠の木造2階建て。登録が決まれば、須坂市内では旧越家住宅(春木町)、ふれあい館しらふじ(旧丸田医院、本上町)、ふれあい館まゆぐら(旧田尻製糸、東横町)、田中本家博物館(穀町)、塩屋醸造(新町)に続いて6件目となる。
モルタル塗りの外観は左右対称。正面両端を張り出し、途中で傾斜が変わるマンサード型の屋根、屋根上に塔屋とドゥーマ窓風の換気口を配し、入口上部に「井上に産」のマークがある。壁面構成は天地逆でも変わらないデザインを施し、屋根は鉄板葺きを銅板葺きに改めた。
内部は、1階が事務所、店舗、和室、応接室で構成。事務所と店舗間にギリシャ風のエンタシスの木柱があり、階段は幾何意匠を用いるなど格調高く仕上げている。
平成10年に利活用のため再生工事を実施、事務所の段差などを解消した。2階は会議室(和室、洋室)など。建築面積約337平方メートル。
建物は明治時代の産業組合時代の遺産とされる。明治33年に産業組合法が公布された。長野県は産業組合活動が盛んで、特に信用購買組合の増加が著しかった。大正2年に県庁内に県信用組合連合会が結成され、井上では同7年に産業組合が発足した。
昭和7年の産業組合法の改正で、組合は有限責任から無限責任・保証責任に組織替えした。同16年に県農業協力会が発足、農協の基礎が固まっていった。
登録への動きは、JA須高元理事が井上支所の文化財的な価値を感じて、平成10年に信濃伝統建築研究所(長野市)に調査を依頼した。
同研究所では「文化財的価値は高い。遺構だけでなく、建築技術の面からも重要。内部は今後の執務に合わせて改装・一部改造を行えば構造耐力上の問題もなく、今後100年は使用に耐える木構造だ。地域の発展に結びつく利活用と保存を図って」と報告した。
その後、JA須高の地元理事2人が昨年5月、須坂市に相談した。それを受けて須坂市は文部科学省外局の文化庁に報告書などを提出した。
文化審議会は今回審議・議決を経て、全国195件の建造物を登録するように答申した。県内は長野市松代町の證蓮寺、布袋屋小林家住宅など4件。
松澤利一支所長は「井上支所は地域のシンボル・拠り所。インターにも近く歴史ある建物として残す価値がある。外観のみでなく、建物を生かした事業を行って、維持することが大切」と話す。
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