保健補導員、須坂やすらぎ視察〜アジアの国会議員

2015-08-08 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon アジア人口・開発協会(東京)が主催するアジア6カ国の国会議員による視察が先月29〜30日、須坂市内で行われ、市役所と須坂やすらぎの園(本郷町)で研修を深めた。市役所では「市の母子保健事業と保健補導員活動の連携」について説明し、健康体操を指導した。やすらぎの園では「社会福祉法人睦会が運営する総合福祉施設須坂やすらぎの園の現状と役割」を説明した後、施設内を視察した。
 来訪した国会議員はカンボジアや中国、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの24人(30日は23人)。人口と開発に関する議員連盟に所属したり、医師でもある専門家。
 市役所では、健康長寿を誇る須坂の歩みの中で特筆する、地域住民の参加による生涯健康づくりの取り組みを紹介した。「58年続く市の保健補導員制度は体験者が7,000人に達する。義務として引き受けた女性が利他的行動に変わり、続いている」とボランティアの力を強調した。
 質疑応答でアジアの国会議員は 1.保健補導員(ボランティア)の報酬は 2.見返りが少ないのになぜ協力できるのか 3.たばこやアルコールの指導は―と疑問が寄せられた。
 保健補導員29期の内山久美子会長は「昨年1年目はなぜただ働きか疑問に思ったが、2年目は自らや家族のためと気づいた。2年間は老後を考えさせてもらえる時間。区民への配布も、ドアの向こうの顔は見えないが、ポスティングを楽しみにしてくれることに気づき、ボランティアの醍醐味(だいごみ)と感謝している。やってよかった補導員の言葉通りと思う」と語った。
 29期はほかに富沢智子副会長と藤沢とし江理事が出席した。「健康体操を各国で普及させて」と呼びかけた。
 中国語の通訳は、地域おこし協力隊で須坂市観光協会に勤務するショウ・センさん(河北省出身)が行った。
 一方、須坂やすらぎの園では、米国出身の事務職員デュラン・ノールさん、中国出身の介護職員富沢あい子さん、タイ出身の介護職員近藤アモンラトさんが通訳した。
 大規模多機能施設の構想を掲げて22年前に特別養護老人ホームからスタート。老人保健施設や保育園、養護老人ホーム、小規模多機能施設、グループホームなどを設置し、地域で生活を全うする福祉拠点をアピールした。
 大規模多機能施設の紹介の中で、大島順道統括施設長は「施設内で園児とお年寄りが交流でき、孫と接する機会の少ないお年寄りの心のケアと園児の情操教育に役立っている」と述べた。
 質疑応答では 1.施設利用の年齢や条件は 2.経費のうちの最大は何か 3.入所者一人当たりのコストは 4.建設費用は―など出された。
 須坂市での2日間の研修について、医師でもあるグエン・ヴァン・ティエンさん(ベトナム)は「生きる質が手当てされていて、専門家のケアは素晴らしい。日本の福祉政策は活発。行政が補助金で支援する半官半民的高齢者施設の重要性を感じた。一方、保健補導員制度は他の国に移転できる素晴らしい取り組み。家族の機能を補うことができ、予防は治療に勝る」とした。
 また、医師でもあるジェトン・シラトラノンさん(タイ)は「タイも高齢化が進み、日本に似ている。日本の施設はいいが、お金がかかっている。介護保険制度もいいが、すべて自己負担のタイでは日本のようにはできない」とした。
 主催したアジア人口・開発協会の楠本修常務理事は「アジアには日本のようなコミュニティーの資産がない。保健補導員活動は地域づくりの一環で地域力が日本の社会を支えている。それが高齢者になっても住み続けられる須坂の財産になっている」と分析した。

2015-08-08 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。