2015-10-03 07:00 am by 須坂新聞
昨年秋、惜しまれながらも販売を終えた須坂の銘菓「一万石」が、市内の2店舗で復活した。須坂を代表する菓子を―と、51年前、有志4店によって共同開発され、丸田製菓舗の丸田保夫さん(84、北旭ケ丘町)が唯一、贈答用菓子として廃業当日まで守り抜いた。その技術と味を清野製菓舗(八幡町)とコモリ餅店(北横町)が継承する。
添加物を加えず新鮮な卵と小麦粉、砂糖だけで作るブッセ皮は、中身はふわふわなのに表面はサクッとした歯触りが特徴。コモリ餅店の島田昌明さん(48)は「半世紀に渡り愛されたこの味を絶やしたくない」と、高齢を理由に店をたたむことになった丸田さんに技術指導を直談判。「須坂に残してくれるなら」と快諾を得て、有志数人が詳細な手順とコツを吸収した。
添加物を使わないため温度や湿度に左右されやすく、店頭に出せるまでに「何百、何千と失敗した」という島田さんは、間に挟む杏ジャムとバタークリームも丸田さんと同じ材料を使う。
また、先ごろ「信州須坂藩 一万石」で商標登録を済ませ、パッケージをリニューアル。「歴史ある技術と味を守りたい。買う人に納得してもらえる須坂ブランドの『一万石』を作ることが第一」と話す。
清野製菓舗の清野要一さん(67)は「須坂を代表するお菓子が少なくなってしまった中、幅広い年代に愛されるお菓子として受け継いでいきたい」と、なじみの杏ジャムをブルーベリーにアレンジした商品も加えた。店内の一角には、丸田さんの工場にあった木製の冷蔵庫を置く。
アドバイスしてきた丸田さんは「今まで何度も出来具合を見せてもらったが、どちらもうちのと同じ仕上がりで、本物。安心した。大手を振って売ってほしい。さらに研究し、上を目指してくれるならもっとうれしい」と話している。
初代「一万石」は、かつての中沢製菓、明治堂製菓舗、丸田製菓舗と、現在、春木町で営業する小妻屋製菓舗によって昭和39年に誕生。須坂藩堀家が一万石の大名だったことにちなんで命名した。当時の山際順市長の理解を得て、パッケージには須坂市の市章があしらわれた。
なお、10月18日の竜の里マラソンと31日のうまいもん祭りで「一万石」を出張販売する予定。1個130円(税込み)。
2015-10-03 07:00 am by 須坂新聞 - 2 コメント
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