保健補導員は医療費低い〜須坂市と東邦大が調査

2015-10-24 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂市と東邦大学(東京都)が昨年2月に共同で実施した市民健康調査を分析した結果、保健補導員経験者は未経験者に比べて一人当たりの国保医療費が低く、特に70歳以上で顕著な差が見られた。経験者は外来受診率が高く、早期受診、早期治療で病気の重症化を防いでいることなどが要因として考えられるという。13日に同大医学部社会医学講座の今村晴彦助教が保健補導員経験者に報告した。
 須坂市は県内19市の中で介護認定率が最も低い。長野県の健康長寿の一因として保健補導員活動があげられており、須坂市はその発祥地で活動が盛んなことから、市と同大が経験者と未経験者のデータを比較した。
 健康調査は、65歳以上で要介護度3以下の市民13,846人を対象にアンケートを実施。健康状態や食事、入浴などの日常生活、病気、地域活動への参加、近所付き合いなど44項目を尋ね、その中で保健補導員活動経験についても聞いた。回答者は10,758人(男4,800人、女5,958人)。回答率77.7%だった。
 アンケートの回答を基に、保健補導員経験者と未経験者の平成25年度の国保医療費や健診・検診の受診率などを比較分析した。国保該当者のうち経験者は1,274人、未経験者は1,030人だった。
 65歳から74歳まで年齢ごとに平均を比較し、医療費は68歳と69歳以外はすべての年齢で経験者の方が低かった。両者の差は70歳で約85,000円(経験者234,455円、未経験者319,530円)で、それ以降は10万円以上開いた。
 入院受診率は、未経験者が10.5%に対して経験者は7.8%。一方で、外来受診率は未経験者が90.9%に対して経験者は95.5%だった。特定健診、胃がん、大腸がん、乳がん検診の受診率とも未経験者より経験者の方が高かった。
 また、健康や地域活動への参加などの指標も経験者の方が高い傾向がみられた。
 今村さんは「客観的なデータとして示すことができた。こうしたことから、経験者は健康意識が高いことが考えられる。家族にもいい影響を及ぼしていることが考えられる」と話した。
 出席した保健補導員経験者からは「経験したことで自分の健康は自分で守るという意識が高まった」「活動に自信を持てるデータが出てうれしい」「次の保健補導員のなり手に、自分や家族の健康、地域の誇りになると伝え、勧められる」などの声が聞かれた。

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