2015-10-31 07:00 am by 須坂新聞
内閣府は「エイジレス・ライフ」を実践している高齢者として、須坂市屋部町の橋本明夫さん(76)を選んだ。須坂市からは5年連続の選出。27日に市役所で伝達式を行った。
エイジレス・ライフは年齢にとらわれず、自らの責任と能力で生き生きとした生活を送ること。内閣府では、高齢者や高齢期を迎えようとする世代の生き方の参考にしてもらおうと、毎年エイジレス・ライフを実践している高齢者個人や社会活動を積極的に行っている高齢者グループを選出、今年度は全国51人と15団体を選んだ。長野県では2人。
橋本さんは子どもの頃から音楽が好きで楽器演奏に興味を持ち、ドラムやギターを楽しんでいた。昭和58年頃、津軽三味線の第一人者高橋竹山さんの演奏をテレビで見て感動、津軽三味線を始めた。翌59年には有志と共に「すみさか民謡会」を立ち上げた。
当初は町内会などで演奏していたが、市内の老人ホームから演奏の依頼があった。津軽三味線に合わせて高齢者が手拍子をして民謡を歌う姿に、橋本さんは「こんなに喜んでいただけるとは。培った技術が人を笑顔にする力があるのなら」と地域奉仕への思いを強くしたという。
その後、総合福祉施設やすらぎの園養護老人ホーム寿楽園(本郷町)と、特別養護老人ホーム須坂荘(塩野町)で毎月1回津軽三味線を弾きながらの民謡教室を開くほか、市内外の多くの老人施設で年2〜3回演奏を行っている。
寿楽園では「目の前で三味線を生で聞ける貴重な機会。入所者は歌ったり、踊ったり、太鼓を叩いたりと、共に参加できる。目の輝きが違う。民謡教室のおかげで、5年前から施設の6ユニット合同の民謡歌合戦を毎年開くようになり、最高の生きがいづくり、仲間づくりになっている」と喜び、橋本さんも「皆さんから待っていた。今度いつ来るのと言われるのがとてもうれしい」という。
演奏会はほかに各町でのふれあいサロン、敬老会などを含めて年間で50回ほどという。また、津軽三味線は日本の伝統芸能として国際交流にも貢献。橋本さんは長野五輪時は選手村などで演奏し、外国選手に喜ばれたという。須坂市で開かれたアフリカ地域、東アジアとの交流会でも津軽三味線を披露した。
平成14年に民間会社を定年退職してから活動の幅が広がった。「皆さんのおかげで元気をもらい、立派な賞までいただいて感謝です。高齢化が進む中、少しでも長く続けて皆さんに笑顔を届けたい」。妻の勝子さん、長女夫妻、孫二人。
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