「相田みつを展」が縁で相田みつを美術館から作品届く

2022-05-28 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂クラシック美術館など市内3会場で今年2月〜3月に「相田みつを展」(市実行委員会主催)を開いた須坂市に先ごろ、相田みつを美術館(東京)から相田みつを関連作品191点(複製)が贈られた。
 みつをさんの長男で館長の相田一人(かずひと)さんが3月13日にメセナホールで講演した際に同館の関連作品を販売。売り上げの一部を「児童・生徒の心を育む活動に役立ててほしい」と市に25万円を寄付。市教委は市内17の小中・支援学校に1校約15,000円分を配分した。
 各校は販売作品のカレンダー(日めくり、卓上)や額、色紙、書籍などから選んだ。
 井上小(鬼石喜明=よしあき=校長)は「出逢(であ)い」「道」「いのち」「めぐりあい」「憂(うれ)い」などの作品11点を選んだ。
 書家で詩人の相田みつをさん(1924〜91)が発する「ふかい憂いのわかる人間になろう」「重いかなしみの見える眼(め)を持とう」などの言葉が心に染みる。
 同校を含む市内小中・支援学校は、展覧会開会直前の今年2月16日から3日間、各校1作品を先行展示した。井上小は作品「体験してはじめて身につくんだなあ」を展示し、大勢が作品に触れた。
 本年度着任した鬼石校長は「11点の作品を縁あって頂いた。書も味がある。内容はあたたかく、人間の弱さに触れて書かれている。作品を見てほっとしてほしい。何かの縁を大事にしたい」と取材に語った。
 市は27日、相田館長に感謝状を贈った。
 去る2月〜3月の展覧会は「子供や子育て世代に生きる意味を問い、自己対話ができる空間と文化芸術に接する機会の提供」などを目的に開いた。
 学校での先行展示について、実行委員会は「児童・生徒は初めは不思議そうに、次第に言葉の中身にも自分なりの感性でとらえ、自分の言葉で感想を表現するようになっていった」と各校の声を集約した。
 小林教育長は「(2月の各校展示を見た児童の感想を知った)相田館長から子供たちがしっかり受け止めていてうれしかったとのご感想をいただいた」「子育てに悩むときにみつをさんの言葉を広げて見てほしい。子供たちも行き詰まったとき、具体的に動くことで答えが出るので立ち上がってもらえるとありがたい。日常生活を見直すきっかけにしてほしい」と取材に語った。
 教育長と相田みつをさんとの交際は、赤穂中(駒ケ根市立)で教えた40年前にさかのぼる。職場の教員が配布した相田作品「道」のプリントを教室の入り口に貼っていたことがきっかけ。修学旅行で訪れた奈良の土産物店に相田さんの色紙が並べられているのを生徒が見つけ、住所が書いてあったことから多くの生徒が手紙を書いて交際が始まった。
 相田さんのアドバイス「ともかく具体的に動いてみるんだね。具体的に動けば具体的な答えが出るから」に感激した生徒が再び手紙を書いて交際が深まっていった。
 教育長は、相田さんが亡くなるまで「さまざまなことを教えていただいた。有名になってからも、私や生徒たちにはいつもの《みつをさん》だった。生徒にもらった貴重なめぐり会い」と墨坂中時代の校長講話「『出会い』から『めぐり会い』へ」の中で紹介した。
 教育長の「めぐり会い」とは、「さまざまな出会いの中から、もう一度出会いたいと心の中に持続する、こちらの思いが強く、求めて続けていけば、相手(人もものも事も)はきっとこちらに向かって歩いてきてくれる。そういう出会いを私はめぐり会いと呼ぶ」と講長講話で続けた。
 これまでの体験を踏まえ、教育長は「めぐり会いの種は日常の出会いの中に必ずある。見つけられるかはあなた次第。求め、求め続けていけば、必ず相手は歩いてきてくれる。すべては少しの踏み出す勇気と決心から始まるといっていい」と当時の生徒を導いた。

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