高山チョウベニヒカゲ間近に〜須坂市と五味池破風高原管理委が観察会

2022-08-20 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 須坂市と五味池破風高原管理委員会は11日、自然観察会「五味池破風高原の自然と高山蝶(ちょう)ベニヒカゲに会おう」を五味池破風高原自然園で開いた。ふれあい広場(第二駐車場)から約1.5kmの遊歩道を登ると約50分後、大平に到着。羽を広げても4cm〜6cmほどの小さなベニヒカゲが低く飛ぶ様子が草原一帯で見られた。参加者は子供7人を含む22人。好天に恵まれ、千曲川を挟んで須坂・長野両市街地などの眺望も楽しめた。
 県天然記念物のベニヒカゲ(ジャノメチョウ科)は、五味池や峰の原高原など標高1,500m以上の山地で8月〜9月に見られる。焦げ茶色から黒色の羽にオレンジ色の帯状模様があり、オレンジ色の中に目玉模様が付いている。幼虫はカヤツリグサ科やイネ科の植物を食べる。夏にさなぎが羽化し、成虫は秋に産卵。次の夏まで幼虫で過ごす。
 この日は、長野自然観察の会とコープながのいんぷり連絡会グループやまならしから講師3人を招いた。市は高山蝶パトロール員と博物館職員の3人。五味池破風高原管理委員会の委員8人が参加者をサポートした。
 遊歩道大平コースは山地やササ原を抜ける大平への最短ルート。コエゾゼミが鳴き、花の終わりに近いヤナギランの蜜を集めるマルハナバチが飛び、白い花のヤマハハコ、ウメバチソウのつぼみ、紫色のウツボグサ、赤紫色のノアザミ、シラタマノキ、実が食用となるツノハシバミが途中で確認された。
 匂いがするイブキジャコウソウは、標高の高い所にも、鎌田山や坂田山にも見られると博物館専門員が説明。実際に匂いを嗅ぐ体験もした。
 高木はトウヒ、ウラジロモミ、オオシラビソ、コメツガ、ダケカンバ、シラカンバなどが見られた。
 大平の11時20分の気温は26.8度。須坂市街地より8度ほど低かったが、直射日光の下では暑かった。
 ベニヒカゲを観察した村石悠輔(ゆうすけ)さん(小4)は「7匹見つけ、羽を広げている写真が撮れた。登りはつらかったけど歩いてきてよかった」。
 但馬創(はじめ)さん(亀倉町)は「初めて観察会に参加した。五味池破風高原は業務で何度も訪れた懐かしい土地。木が大きくなっていた。眺めは素晴らしい。ベニヒカゲは10匹ほど見かけた。写真も羽を開いているところが撮れた。観光地化していない自然は市民の宝。もっと大勢楽しむべき」と語った。
 市立博物館の木原奉文(ともやす)自然専門員は「ベニヒカゲは20匹前後の生息を大勢の参加者で確認できた。眺望もいい五味池破風高原の自然に大勢の市民が触れ、関心を持ってほしい。地球温暖化の観点も大事に身近な自然を考えてほしい」と取材に答えた。

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