台風19号で浸水被害の北相之島町の事前防災行動計画「コミュニティ・タイムライン」とは?

2022-09-17 09:32 am by 須坂新聞

お知らせ icon 2019年10月の台風19号で浸水被害に遭った須坂市北相之島町で、地域の事前防災行動計画「コミュニティ・タイムライン」の試行運用版が完成した。水害に備えて台風への注意から避難まで、状況に応じて住民や市が取るべき行動を5段階のステージで明示。今後、試行版を使った訓練を行い、有事の際に運用できるようにする。
 市総務課によると、北相之島町は3年前の台風災害で、234棟が浸水被害を受けた。避難者は約700人(約300世帯)。けが人は軽症5人だった。
 タイムライン作りは昨年12月に着手した。市や国土交通省北陸地方整備局千曲川河川事務所と連携し、検討ワークショップ(全3回)などを開催。台風災害時を振り返り、改善点や今後の対応を整理してきた。
 11日は市豊洲防災コミュニティセンターでワークショップの最終回を開き、区民をはじめ関係者約50人が試行版の内容を確認した。
 タイムラインは、5段階を(1)注意を向ける(3〜5日前)(2)対応方針を決める(2日前)(3)対応開始(1日前〜当日)(4)避難実施(当日)(5)避難徹底(発災)―に分類。
 市や区などが取る対応として、市の自主避難要請を受け「区長は要支援者の移送支援を本部に指示する」、高齢者等避難・避難指示の発令で「横引きゲートを閉鎖するため、本部から消防団へ初期水防隊への応援要請を行う」など、行動のきっかけとなる情報と行動を結び付けた。
 住民には台風情報の確認や持ち出し品の準備、自宅の浸水対策、避難の徹底などを促す。「いつ、誰が、何をするのか」―が分かる内容を載せた=概要参照。
 ワークショップの座長を務めたコミュニティ・タイムラインの第一人者で、東京大大学院情報学環総合防災情報研究センター客員教授の松尾一郎さんは、「(タイムラインを使った)訓練と同時に反省会もやりながら改善につなげていくことが重要。命を守る道具になる」と呼びかけた。
 地元消防団員の三木和幸さんは「(ワークショップで)避難の重要性を改めて考えることができた。命を守ることを優先し、早め早めの行動につなげたい」と話していた。
 同区では10月下旬、今回作成したタイムラインを使って避難訓練を実施する予定。寺島重夫区長は「まだ試行錯誤の段階。訓練をすることで課題も見えてくるはず。しっかり仕組みを作って、次の世代に伝えていきたい」と考えている。
 なお、今月22日には市豊洲防災コミュニティセンターで手交式を開き、同区が市に試行版の完成を報告する。

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