2022-10-17 08:30 am by 須坂新聞
霧原大元神社(須坂市上八町)は9日、御柱祭里引きと御柱建てをした。太神楽の行列が公会堂から鳥居まで約600mを練り歩いた。道中では上八町郷土芸能保存会(松沢一彦会長)の太神楽の演奏と、やっこ姿の若者(やっこ巻)による赤熊(しゃあま、市指定無形民俗文化財)が振られた。赤熊の奉納は4年ぶり。千石船(宝船)の「霧原丸」からは、氏子崇敬者らに菓子や五円玉硬貨などの御供が大量にまかれ、祭りを盛り上げた。須高の御柱祭は同神社が取りを務めた。
参道(門灯籠)から本殿前に走り込んだやっこ姿の若者がこの日5回目の赤熊を奉納した。大赤熊(おおじゃあま)1本(長さ5.6m)と小赤熊(こじゃあま)4本(同4.65m)を頭上に振り、前方に傾け、ペアを組む相手方に投げ渡した。
御柱建ては4本。8月28日に区共有林(仙仁山)から切り出した杉6本のうちの4本(残り2本は宝船に)。長さは6.06mから8.48mまで。このうち二の柱から四の柱まで3本は10月2日に建立した。
一の柱はこの日、車両で道中を引き、重機を使って建て、宮司の山岸孝爾(こうじ)八幡墨坂神社宮司が神事を営んだ。
神事の途中から雨が降り出した。
境内特設舞台では御柱の年に演じられる獅子狂言「葛(くず)の葉子別れ」が奉納された。葛の葉が口にくわえた筆に墨をつけて「恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる 信田の森の恨み葛の葉」と書いて去る場面が哀愁を誘った。
葛の葉を演じた町田正明さん(61)は今回が初舞台。本番仕様のリハーサルでは10枚ほどを書いたという。
「口にくわえると細かい調整ができない。横に書くのもやりづらい。雨の中で50点くらいか」と振り返った。
行列で露払いを務めた梨本尚吾さん(小6)と早川遼太郎さん(同)は「鉄の錫杖(しゃくじょう)が重かった」と語った。
木やり歌は下八町木やり保存会から。村石淳(あつし)さんと村石謙吾さん(小6)、村石大吾さん(小2)が招かれ、曳行(えいこう)中の歌や御柱建ての歌を披露した。
市消防団第8分団ラッパ隊(神林直樹分団ラッパ長、8人)が里引きや御柱建ての際にパラダイスマーチや表彰曲など8曲を吹奏して力をつけた。
今年で3回目という大赤熊を務めた成山隆司(りゅうし)さん(42)は「大赤熊は重さ15kgほど。真上に円形に振るのが難しい。自己採点は70点」。奉納終了後には「赤熊全体(先箱、赤熊、長柄立傘)では最高の出来」と充実感を表した。
山岸宮司は「諏訪の神様の建御名方命ご夫妻をお祭りする神社にとって7年は、地域が生まれ返る力を頂くサイクルで、生活にもご神徳を受けていることを周知いただけるといい」と取材に語った。
町田氏子総代長は祭事後「コロナ禍の中で御柱祭を縮小して実施したが、大勢の氏子崇敬者が出ていただき、うれしい。里引きは1本だけでしかも機械で引いて残念だが、霧原大元神社のご加護の下でこれからも災害がないよう願うばかりだ」と感慨を込めた。
2022-10-17 08:30 am by 須坂新聞 - 0 コメント
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